このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
ブロードバンド時代の急速な進展を背景に、通信と放送の融合が注目され、本格的な画像コミュニケーション時代が到来しています。このような時代の要請に対応して、新しい「H.264/AVC」という画像圧縮技術が標準化され、国際的な注目を集めています。今回は、H.264/AVC以外の圧縮技術は不要になるのかについて解説します。


Q16:H.264/AVC以外の圧縮技術は不要になるのか?
H.264/AVCはどのような情報圧縮に適した技術なのでしょうか。H.264/AVCが実用化されると、他の圧縮技術は不要になるのでしょうか。それとも、ある分野だけに利用されるのでしょうか?
H.264/AVCは、その標題「Advanced video coding for generic audiovisual services」(汎用のオーディオ・ビジュアル・サービス用高度動画像圧縮符号化)が示すように、オーディオ・ビジュアル・サービス(マルチメディア・サービスと同義)全般で利用されることを意図して作られた標準です。多様なアプリケーションからの要求条件が満たされる標準となっています。今後どの分野で広く使われるようになるかは、アプリケーションのシステムを定義する標準化団体、産業界の意向で決まることになります。すでに、テレビ電話/会議システムをはじめ、放送、コンピュータ、ゲーム、携帯電話、Blu-rayなどへの適用が次々に発表されています。
しかし、新たな標準ができても、従来の標準に従う製品は使い続けられますので、アプリケーションのシステムは新旧世代間で相互接続性が保たれるように規定されるのが一般的です。具体的には、
(1)新しい製品は新旧両世代の標準をサポートし、相手によって切り替える
(2)あるいは新旧世代標準の間を変換するゲートウェイ(相互変換装置)を介して接続する
などの方法で新たな標準の普及が図られます。やがて旧世代の標準は役目を終えることになります。
※この「Q&Aで学ぶ基礎技術:最新の情報圧縮技術〔H.264/AVC〕編」は、著者の承諾を得て、好評発売中の「改訂版 H.264/AVC教科書」の第1章に最新情報を加えて一部修正し、転載したものです。ご了承ください。
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