北京オリンピック開催記念連載! 第4回

≪1≫インターネット利用者数の推移
中国のインターネットとパソコンの利用者は、中国の経済成長とともに急激に伸びています。これを図1に示します。中国互聯網信息中心の調査データによると2008年6月には、インターネット利用者数が2.53億人までに達しました。これは、米国(2.15億人)を超え、世界で最大の利用者数です。なお、パソコン経由ではなく、携帯でインターネットを利用する人も多く、7305万人に達しています。
男女別のインターネット利用者の割合は、男性は53.6%、女性は46.4%と男性のほうがわずかに多くなっています。新たな利用者を年齢別に見ると、18歳以下の利用者と30歳以上の利用者が増えているという特徴があります。これを図2に示します。
問題は普及率で、全世界の平均的水準が21.1%であるのに対し、中国の普及率はまだ全人口13億人の19.1%です。なお、以上の数字はCCNICのレポート 2008年7月版(http://www.cnnic.net.cn/uploadfiles/pdf/2008/7/23/170516.pdf)でも確認することができます。
≪2≫ドメイン数の推移
中国で取得されたドメイン名の分類と個数および比率を表1に示します。2008年6月現在、中国のドメイン名の総計は1,485万個になり、1年の成長率は61.8%にまで達しました。特に目立つのが、CNドメインの増加で、その数はcomやnetなどの汎用ドメインをはるかに越えて最多の11,900,144個にまでなっています。これは、全体の80.1%にあたります。cnドメインの次に多いのがCOMドメインで、全体の16.6%となっています。
これらのドメインの登録は中国万網、CNNIC、直達網址、網域科技、新網互聯、新網、中国頻道、商務中国等のドメイン名登録サービス業者によって行われています。
表2には、CNドメインの内訳を示しています。最も多いのがcomなどの属性がCNにつかない汎用CNドメインで全体の63%程度になっています。ついで、com.cnドメインで28%程度です。
≪3≫IPv4アドレスの増加
図3に、IPv4アドレス数の推移を示します。現在、中国で使用されているIPv4アドレスの数は1.58億個に達しました。これは、全世界の5.9%を占めるもので、米国に引き続き、世界で第2位となりました。なお、IPv6の利用も政府が推進しており、2008年6月までに割り振られたIPv6のアドレス数は世界で17位となっています。
日本での固定IPアドレスのサービスを受けるには一個当たり1ヵ月で2000円程度かかりますが、中国では1ヵ月2000元(32,000円)近くもかかるプロバイダがあります。これは相当に高価なものであり、ADSLなどを契約する場合には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)での動的なIPアドレス割り当てを使うのが普通です。
≪4≫ウェブサイト数の急激な増加
中国のウェブサイトの数はすでに191.9万に達しました。これを図4に示します。1年当たりの成長率は46.3%にまでになっています。その中でも増加数の最も大きいものは.CNドメインのウェブサイトです。これは、ブログや個人のウェブサイトなどの、いわゆる、CGM(Consumer Generated Media)の増大によって引き起こされたものを考えられます。表3には、ブログなどのサービスを提供している主なサイトをまとめておきます。
≪5≫中国の主なインターネット資源の状況
これまでに説明してきたさまざまなインターネット資源の数値を表4にまとめておきます。参考のため、この表では、人口1万人当たりとネット利用者1万人当たりの数も示しておきます。人口1万人当たりとは全人口を対象としたものであり、ネット利用者1万人当たりとは、ネットを利用している人口を対象としてものです。年の成長率を見るとどの数値も大きな増加を見せていることがわかります。特にドメイン名や、ウェブサイトとホームページの増加が目立ちます。今後、どのような推移を辿るのか氣になるところですが、すでに述べたように、普及率はまだ総人口の19.1%ですから、今後の普及に伴って、これらの数字が更に上がることが想定されます。
参考サイト:中国互聯網信息中心
http://www.cnnic.net.cn/index/0E/00/11/index.htm
プロフィール
陶一智(とう・いちち)
7年前に来日し、2006年に法政大学ビジネススクールにおいてMBA(経営学修士号)を取得。
現在、株式会社TERMONYのインターネットビジネス事業部代表として、女性のためのウィッグ販売サイトhttp://www.igennki.comのオペレーションを行っている。