≪3≫NHKオンデマンドのサービスとシステム構成
〔1〕NHK総合/教育など5チャンネルから番組を選んで提供
■ NHKオンデマンドでは、どのような番組が配信されているのでしょうか。

木田実氏
(NHKオンデマンド室 室長)
木田 今は、
(1)NHK総合
(2)NHK教育
(3)BS1(衛星第1テレビジョン放送)
(4)BS2(衛星第2テレビジョン放送)
(5)BS hi(衛星ハイビジョン放送)
の5チャンネルから番組を選んで提供しています。ただし、権利が取れない場合もありますから、残念ながらすべての番組を提供できる状況ではありません。
■ 配信番組は何本からスタートしたんでしょうか。
木田 特選ライブラリーは1260本からスタート(2008年12月1日)しました。その後、毎週金曜日にほぼ20本ずつ過去番組を追加していますので、2009年1月7日現在は1400本になっています。
見逃し番組は今のところ、毎日のニュース番組を含めて1日20本程度です。それが1週間分残っていますので、週に180本程度です。12月の実績は550本となっています。
〔2〕NHKオンデマンドのシステム構成
■ 現在、PC向けサービスとテレビ向けサービスを提供していますが、それぞれどういったパートナーと組んでサービスが提供されているのでしょうか。NHKオンデマンドのシステム概要を教えてください。
木田 NHKオンデマンドの配信システムの概要を図5に示します。
図5に示すPC向けプラットフォームは、「NHKオンデマンド」の名前を冠し、直接私たち(NHK)の管理下にあるサービスです。ただし、運営(商品管理・会員管理・課金・配信)はすべてNTTコミュニケーションにお願いしています。また、回線まわりの管理はIIJにお願いしています。
テレビ向けサービス(IPTV)ではアクトビラ(株式会社アクトビラ)、J:COM(株式会社ジュピターテレコム)、ひかりTV(株式会社NTTぷらら)の各事業者がそれぞれユーザー向けのプラットフォームを提供しています。私たちは専門店街にテナントとして店を出すようなイメージで、NHKのコンテンツをそれぞれのプラットフォームで売っていただいているということです。
私たちNHKが社内にもっているのは基本的にエンコード・システム(映像圧縮符号装置)とトランスコーダ・システム(映像符号変換装置)だけです。図5に示すように、NHKが番組コンテンツをエンコードしトランスコードして各事業者に送ります。ただし、商品管理用のメタデータ(テレビ番組情報等)はいったんNTTコミュニケーションに送って一括管理され、そこからアクトビラ、J:COM、ひかりTVにそれぞれ送られる形です。
より詳しいシステム構成を図6に示します。
≪4≫PC向けサービスとテレビ向けサービスの違い
■ 視聴するユーザー側にはどういった環境が求められるのでしょうか。
木田 NHKオンデマンドは、特定のプロバイダーに依存したサービスではないため、インターネットさえつながればどなたでもご利用いただけます。ただしストリーミング方式のため、ブロードバンド環境が必要です〔ストリーミング方式:動画像や音声情報を受信しながら(蓄積せずに)順次再生する方式)。
〔1〕PC(パソコン)向けサービス
PC向けサービスはWindows Media Player形式で、768kbpsと1.5Mbpsの2サイズのファイルを提供していますので、ADSLでもFTTHでも閲覧いただけます。
〔2〕テレビ向けサービス
■ ユーザー側に提供されるテレビ向けサービスは、ハイビジョン画質(HD)のみの配信なのでしょうか。スタンダード・テレビジョン(SD)では配信しないのですか。
木田 テレビ向けサービスにスタンダード・テレビジョン(SD:標準画質)は配信せず、ハイビジョンのみで提供します。PC向けにもかなり高画質の映像を配信していますが、テレビ向けサービスはハイビジョン画質でしか送らないというコンセプトで考えています。
テレビ向けサービスの場合は、7Mbps程度のファイルを送信しているため、FTTH環境が必須です。画像のふらつきなどが生じる問題もありまので、アクトビラ社では12Mbps以上の回線速度(FTTH)を推奨しています。
――つづく――
プロフィール

木田 実(ぼくだ みのる)
現職:NHKオンデマンド室 室長
【略 歴】
出身地:滋賀県
1952年1月26日生まれ
1975年3月 早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒
1975年4月 日本放送協会(NHK) 記者職
岐阜局 名古屋局を経て
1985年 報道局 経済部記者
2000年 放送総局 アーカイブス建設事務局 総合企画室を経て
2005年6月 アーカイブス・オンデマンド推進室
2008年4月 NHKオンデマンド室