≪1≫「ひかりTV」のネットワーク構成
■2008年5月9日に「ひかりTV」は日本初となる地上デジタル放送IP再送信のサービスを開始されましたが、「ひかりTV」を利用するためには、どういう条件が必要なのでしょうか。
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)
板東 そうですね。「ひかりTV」を利用するためには、まずNTT東日本、NTT西日本が提供する光回線サービスである、
(1)フレッツ 光ネクスト
(2)Bフレッツ
(3)フレッツ・光プレミアム
のいずれかに加入することが必要です。そして、「ひかりTV」の対応チューナー(セット・トップ・ボックス:STB)も必要となります。
写真1および表1に「ひかりTVチューナー」の画像と製品仕様を示しました。
■「ひかりTV」はどのようなネットワーク構成でサービスを提供しているのでしょうか。
板東 図1に示したように、「ひかりTV」は、NGNのユーザーにも、従来のフレッツのユーザーにも、利用していただけます。「ひかりTV」用の新しい「ひかりTVチューナー」(STB)が4月から提供されていますが、このチューナー(STB)は、H.264/AVCとMPEG-2の両方に対応しています。また、NGNでも従来のフレッツでも、両方のネットワークで使えます。新しい「ひかりチューナー」で「ひかりTV」を使っていただく場合には、ハイビジョンにも対応することができます。さらにNGNのユーザーには、一部地域で地上デジタル放送のIP再送信のサービスも提供しています。
■従来のIPTVサービスを利用しているユーザーの場合、従来サービスに対応したSTBはどうなるのでしょうか。
板東 従来のサービスを利用されているユーザーは、「4th MEDIAチューナー」「オンデマンドTVチューナー」「OCNシアターチューナー」というSTBを持っているわけですが、オンデマンドTVの一部のSTBを除き、基本的に従来のサービスでご利用いただいているSTBのファームウエア(※1)をバージョンアップすることによって、新しい「ひかりTV」のサービスを使っていただけます。ファームウエアをネットワーク側から書きかえて、「ひかりTV」に対応できるように考えています。ただし、オンデマンドTVのSTBのうち、一部の機種については交換が必要です。
また、従来のサービスにおいては、オンデマンドTVのSTBの一部機種がハイビジョン(HDTV ※2)とH.264/AVCに対応していますが、ほとんどの従来STBは、MPEG-2で、通常の画質(SDTV ※3)となっています。
※1 ファームウエア:Firmware。電子機器に組み込まれた制御用のソフトウェア
※2 HDTV:High Definition TeleVision、ハイビジョン画質のテレビ
※3 SDTV:Standard Definition Television、標準画質のテレビ
■ユーザーは、「ひかりTV」を視聴するために、STBが必ず必要となるのでしょうか。
板東 そうでない場合もあります。当社では、「ひかりTV」用に新しくIPTVのプラットフォームを構築したわけですが、これは、日本のIPTVの標準化団体であるIPTVフォーラムで検討されている技術仕様を踏まえています。IPTVの標準そのものはまだ策定されていませんが、策定後、その仕様が公開され次第、「ひかりTV」も、IPTVフォーラムの規格に準拠していきたいと考えています。
IPTVフォーラムの標準に準拠すれば、それに合わせて、いろいろな端末メーカーが標準仕様に合った端末を作ってくれるでしょう。すでに、「ひかりTV」のチューナー(STB)をテレビの中に内蔵した東芝の「REGZA」という製品もあります。この製品は、LANケーブルをテレビにつなぎ、ユーザー登録をしていただければ、STBなしで「ひかりTV」を視聴することができます。
このように標準の規格に準拠していれば、いろいろな家電製品に「ひかりTV」のチューナー(STB)を組み込んだ製品を作ってもらえると期待しています。
■現在はまだ、IPTVの標準が決まってないわけですが、「ひかりTV」のSTBは、御社の独自仕様に基づいて作られた製品なのですか。
板東 確かに、現在はまだIPTVの標準仕様は策定されていませんが、NTTグループを含む通信事業者、家電メーカーなどが参加しているIPTVフォーラムで標準化を進めているIPTVの技術仕様をベースに映像配信プラットフォームを構築しており、「ひかりTV」のSTBも、その技術仕様を視野に入れて作られています。