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≪1≫NEDO①:太陽光発電から電気自動車(EV/PHV)までの多彩な活動を紹介
日本最大のスマートグリッド関連の研究開発組織であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構。図1。注1)は、「スマートグリッド2012展」で、同機構の多くの成果を披露し、参加者から注目を集めた。
NEDOブースでは、まず、図2に示すように、NEDOが取り組んでいるスマートコミュニティに向けた多彩な活動を紹介し、太陽光発電や風力発電からゼロエミッションビル、電気自動車(EV/PHV)までの取り組みを整理してアピールした。
(注1)NEDO:New Energy and Industrial Technology Development Organization、経済産業省所管の独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構。2003年10月設立(※前身の特殊法人は1980年設立)。本部は神奈川県川崎市。再生可能エネルギーを含む新エネルギーや省エネルギー技術の開発と、その実証実験や導入を促進して普及させ、新エネルギーの利用分野の拡大や省エネルギーを推進し、エネルギーの安定供給と地球環境問題の解決を目指している。JSCA(スマートコミュニティ・アライアンス)の事務局でもある。
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≪2≫NEDO②:NEDOが海外7拠点で展開するスマートコミュニティ・プロジェクト
今回のNEDOの展示の中で特に注目を集めたのは、図3、図4に示すように、NEDOが現在推進している次の海外の7つの拠点、すなわち、
(1)米国ニューメキシコ州・ロスアラモス郡/アルバカーキ市
(2)米国ハワイ州・マウイ島
(3)フランス・リヨン
(4)中国・江西省
(5)スペイン・マラガ
(6)インドネシア・ジャワ島
(7)マレーシア・プトラジャヤ市/サイバージャヤ市
で展開するスマートコミュニティ・プロジェクト(海外実証事業)である。
このプロジェクトを通して、日本のスマートグリッド技術を海外市場へ展開し、その実証を通して国際競争力を強化しながら、国際標準化への積極的な取り組みが行われている。
≪3≫NEDO③:米国ニューメキシコ州の「スマートグリッド実証」の設備が完成!
次に、世界の7つの拠点で展開されているスマートコミュニティ・プロジェクトのうち、NEDOが最初に着手した米国のニューメキシコ州の例を紹介しよう。
〔1〕スマートハウスとスマートビルの両面からの実証
この米国ニューメキシコ州でのプロジェクトは、2010年度からスタートし、2013年度末までの4年の実証期間であるが、会場では、本年(2012年)5月17日に完成した「ニューメキシコスマートグリッド実証事業」の設備システムも紹介され、参加者から大きな反響を呼んでいた。
このニューメキシコスマートグリッド実証事業(図5)は、
(1)ニューメキシコ州・ロスアラモス郡(人口:56万人、標高2200m)では、住宅エリアにおけるスマートグリッド&スマートハウス「NEDOハウス」の実証
(2)ニューメキシコ州・アルバカーキ市(75万人、標高1600m)では、商業地域(スマートビル)におけるスマートグリッドの実証
というように、2カ所で「スマートハウス」(ロスアラモス)と「スマートビル」(アルバカーキ)の実証実験が行われている。
その基本コンセプトは、日米のエネルギー協力のもとに、ニューメキシコ政府、米国
国立研究所、地元の電力会社などの現地機関と共同で、太陽光発電を大量導入した場合の出力変動を吸収し、安定した系統電力を供給することを目指した先進的なスマートグリッド&スマートハウスの実証事業である。
〔2〕ロスアラモス郡とアルバカーキ―市のシステム構成
具体的には、図6に示すように、ロスアラモス郡の「NEDOハウス」と呼ばれるスマートハウスには、3kWの太陽光発電(PV)、24kWhの蓄電池、ヒートポンプ給湯器、HEMS(Home Energy Managemennt System、家庭用エネルギー管理システム)、スマートメーターなどが設置され、リアルタイムプライシング(リアルタイム料金)によるデマンドレスポンス(電力需要の制御)などの実証が行われている。図7に、ロスアラモス郡におけるスマートハウスのイメージを示す。
一方、図8に示すスアルバカーキ―市のスマートビルには、100kW程度の太陽光発電(PV)やガスエンジンコジェネ、燃料電池、蓄熱槽、BEMS(Building Energy Managemennt System、ビルエネルギー管理システム)などが設置され、東日本大震災以降、日本でも注目されている自律運転も可能なスマートビルの実証が行われている。
この米国ニューメキシコス州のマートグリッド実証事業では、表2に示すように、
(1)日本側パートナー23社
(2)米国側パートナー9社
などの多彩な企業・組織が協力し、連携して実施されている。この事業は、NEDOの海外におけるスマートコミュニティ事業のうち、最初の実証運転に入るケースであることから、大きな期待が寄せられている。
日本側パートナー(23社) | 米国側パートナー(9社) | ||
---|---|---|---|
NEDO | シャープ | 富士電機 | KYOCERA Solar,Inc |
NTTファシリティーズ | 電気安全環境研究所 | 古河電気工業 | Messa del Sol(開発業者) |
アクセチュア | 電力中央研究所 | 古河電池 | PNM(電力会社) |
伊藤忠商事 | 東京瓦斯 | 三菱重工業 | Shimizu North America LLC |
伊藤忠テクノソリューションズ | 東京工業大学 | 明電舎 | Toshiba International Corporation |
関電工 | 東芝 | ― | サンディア国立研究所 |
京セラ | 日本ガイシ | ― | ニューメキシコ州立大学 |
サイバーディフェンス研究所 | 日本電気 | ― | ニューメキシコ州立大学 |
清水建設 | 日立製作所 | ― | ロスアラモス国立研究所 |
(つづく)
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=完成した米国ニューメキシコの「スマートグリッド実証システム」=
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