風力発電の導入に求められる多角的な視点
以上、本稿では欧州における風力発電の普及状況について概説するとともに、風力発電を導入するうえで可能な容量を定める要因を大局的に述べてきた。
第1回で述べた固定価格買取(FIT)の問題に見られるように、風力発電の連系可能量は電力系統との親和性の観点から規定されてしまうものの、それは技術的な要件だけではなく、ルール策定の考え方も著しく大きな要因になる。
したがって、風力発電の導入についてその普及拡大を論じる場合には、多角的な視点が必要である。本連載が、このような諸問題について広い視野から議論するための一助となれば幸いである。
なお参考までに、2014年2月に、EWEA注4(欧州風力エネルギー協会)が発表した、「Wind in power 2013 European statistics」(2013年における欧州の風力発電の統計レポート)の一部を紹介する。
これによれば、図5に示すように、EU(欧州連合)の電力構成を見ると、
- 風力発電は2000年の2.4%から2013年の13%へと5倍も増大したこと
- 再生可能エネルギーは2000年の24.5%から2013年の39.6%へと61%も伸びたこと
などの推移が示されており、欧州における風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギーが急速に普及していることがわかる。
図5 風力発電や再生可能エネルギーが急増するEUの電力構成〔2000年と2013年の比較〕
〔出所 2014年2月、EWEA(European Wind Energy Association)の2013年における欧州の風力発電の統計より、http://www.ewea.org/fileadmin/files/library/publications/statistics/EWEA_Annual_Statistics_2013.pdf 〕
(第3回に続く)
▼ 注4
EWEA:European Wind Energy Association