カリフォルニア州法「AB-2514」と調達仕様
カリフォルニア州は、再生可能エネルギーが今後急速に増大・普及していくに伴って、エネルギー貯蔵が重要になることを予測して、2010年9月にエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)を推進する州法「AB-2514」(Assembly Bill No.2514)
を制定。その後、2013年9月に、カリフォルニア公益委員会(CPUC:California Public Utilities Commission )は、この州法「AB-2514」に関して、その詳しい調達仕様を決定した。
このAB-2514は、CPUCがカリフォルニア州を拠点とする民間電力会社(IOU注5)である、
- SCE(Southern California Edison:南カリフォルニアエジソン)
- PG&E(Pacific Gas andElectric:パシフィックガスアンドエレクトリック)
- SDG&E(San Diego Gas &Electric:サンディエゴガスアンドエレクトリック)
の3社に対し、2014~2020年の期間に、1,350MWの大規模な電力貯蔵システムの導入を義務付ける州法となっている。
カリフォルニア州は、2020年までに太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電の比率を33%とする目標を設定しているが、すでに3社の発電比率は20%を超えてきており、今後のさらに増大する見込みとなっている。
このため、気候によって発電電力が著しく変動する再生可能エネルギーによる既存の電力系統(電力システム)への電圧変動や周波数変動などへの影響が無視できない状況を迎えており、これらへの対応が差し迫った重要な課題となっている。
AB-2514が目指す内容:導入目標は1,325MW
カリフォルニア州によって策定された州法「AB-2514」は、2020年までのカリフォルニア州のエネルギー貯蔵システム調達目標を、第1段階の2014年から2年おきに2020年まで第4段階に分けて設定している(表1)。
表1 2020年までのカリフォルニア州のエネルギー貯蔵システム調達目標(単位:MW)
〔出所 カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)〕
導入されるエネルギー貯蔵システムは、表1に示すように、送電網領域、配電網領域、需要家領域の3つの領域ごとに、コストパフォーマンスの高いエネルギー貯蔵システムが導入される計画となっている。
具体的には、3社合計でそれぞれ2014年に200MW、2016年に270MW、2018年に365MW、2018年に490MWが予定されており、トータルで1,325MWの導入目標となっている〔注。2014年分は、3社の合計で200MWのエネルギー貯蔵の競争調達を行うように求められているが、今回のSCEの発表分(261MW)だけで、この数値を大きく上回ることになった〕。
図1に、前述した3つの各領域に設置されるエネルギー貯蔵システムのイメージ例を示す。
図1 領域ごとに設置される多様なエネルギー貯蔵システムのイメージ
▼ 注5
IOU:Investor Owned Utility、投資家が所有する電気事業者(いわゆる民間電力会社のこと)。