活発化する各社の5G戦略
IoT(Internet of Things)時代のネットワークを支える次世代通信技術である5G(第5世代移動通信方式)は、MWC2014にも増して、各社の活動とその方向性が見えてきた。同技術の標準化を行っている3GPPでの議論はまだ正式に発足していないものの、そのコンセプトはほぼ共有されており、高速大容量を実現することによって、IoTを含むさまざまなアプリケーションに応用できるような柔軟性を含めて議論されている。
キーノートスピーチでは、クアルコムとファーウェイが異なるサービス投入の時期を示した。ここでは積極的なファーウェイに対して、慎重派のクアルコムという印象であった。
5G対応のモデム技術においては、エリクソンやドコモが先行しているようだ。この2社は方式も違うため、相互にその共通性と差異を検証しあう実験を共同で行っている。
NTTドコモは、LTEのOFDM技術に加え、CDMAで培ったキャンセレーション技術(他のユーザーによる干渉除去技術)を用いて、NOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)方式によって60%程度の容量の向上を実現しようとしている(写真1)。一方、エリクソンは、LTEとのシナジーを最大限に活かすことを重点項目として、方式を検討しているようだ。
また、同社は、エリクソンのほかに、アルカテル・ルーセント、ファーウェイ、富士通、NEC、サムスン、三菱電機、NOKIAなど合計8社と5G実現に向けたトライアルを行っている。
写真1 NTTドコモのNOMAの概要
その他5Gへ向けて取り組んでいる企業に共通して言えることは、5Gの前に4.5Gというポイントを置いて、キャリアアグリゲーション(複数の通信方式の統合)サービスの実現を計画している点である。クアルコムやエリクソンなど多くの出展社が、キャリアアグリゲーションのデモを行っていた。
これらの活動はNFV(Network Functions Virtualization)と密接に連動しており、そのなかで特にOPNFV(Open Platform for NFV)が牽引している。これについては後日レポートする。