水素社会実現のための水素サプライチェーンと2015年度予算
経済産業省は、2015年2月に発表した「水素社会の実現に向けた取り組み」のなかで、水素の「製造」「貯蔵・輸送」「利用」まで一気通貫したサプライチェーン構築が重要であるとしている(図1参照)。これは、水素エネルギー利活用の促進に向けて、需要に見合った水素の安価・安定的な供給を実現するためであり、同省の2015年度予算にも、新たに「未利用エネルギー由来水素サプライチェーン構築実証事業」として20.5億円が割り当てられている(表1)。
表1 平成26年度/27年度の経済産業省の水素エネルギー関連予算
〔出所 経済産業省資料より〕
水素サプライチェーンは、図1に示すように、「製造」「輸送・貯蔵」「利用」の3つの領域に分けられている。第1回連載で解説したように、2014年6月に「水素・燃料電池戦略協議会」が策定したロードマップによって、それぞれの目標は設定されているが、実際には、水素社会の実現は、各領域においてどの程度進んでいるのだろうか。領域ごとに見ていく。
図1 水素サプライチェーンの3つの領域
〔出所 経済産業省資料より〕