2015年6月17日、参議院で「電気事業法等の一部を改正する等の法律案」(閣法第29号)が可決され、改正電気事業法が成立した。同法案は、2020年4月1日より施行され、これまで電力事業者が独占してきた送配電部門が別会社として法的に分離される「発送伝分離」が実現する。これによって、新電力(PPS)など、新規に参入する発電会社も、発電事業者と同じ条件で送配電網を利用できるようになる。
同法案では、具体的には、
(1)一般送配電事業者/送電事業者が小売電気事業や発電事業を行うことを禁止(兼業規制による法的分離)
(2)適正な競争関係を確保するため、一般送配電事業者/送電事業者と、そのグループの発電事業者や小売電気事業者等に対し、取締役の兼職禁止等の行為規制を措置
というように、企業間の人事規定が明確に規定されており、事業の分離後、癒着によって不公平な取引が行われることを厳しく規制する内容となっている。
この発送電分離は、すでに2015年4月1日に行われた「電力広域的運営推進機関(OCCTO)の設立」(第1段階)、2016年4月から始まる「電力小売全面自由化」(第2段階)に続く、電力システム改革の第3段階であり、これにより、同改革のすべての法案改正が完了したことになる。
また、2017年にはガス小売全面自由化も予定されているため、今回の改正では、ガス事業法の一部や熱供給事業法も改正されている。
日本でも、電気・ガス・熱を融合した総合的なエネルギー市場の創出が、いよいよ本格化してきた。
〔 参考:電気事業法の新旧対照表 http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150303001/20150303001a.pdf 〕