経済産業省 資源エネルギー庁は、2020年6月5日、エネルギー政策基本法に基づく『エネルギー白書2020』(正式名『令和元年度エネルギーに関する年次報告』)が閣議決定されて国会へ提出し、同内容を公表した(総ページ数:362ページ)注。
平成15(2003)年10月にエネルギー政策基本法に基づいた「エネルギー基本計画」が策定され、これに基づいて最初の『エネルギー白書2004』が2004年6月に発行された。以来、毎年発行され、今年で17回目を迎えた。
今回公表された『エネルギー白書2020』は、表に示すように3部構成となっている。特に第1部では、毎年の動向を踏まえた分析が行われており、その年の内容を特徴づけるものになっている。第1部の主なトピックスとして、以下のような内容が整理され、今後の展望が体系化されている。
表 『エネルギー白書2020』の主な目次構成(全362ページ)
出所 経済産業省 資源エネルギー庁「令和元年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2020)、2020(令和2)年6月5日
- 2011年3月11日に発生した3.11東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から9年を迎え、その復興に向けた進捗状況を報告。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による国際原油市場への影響を概観。特に、原油の中東依存度が88%の日本のエネルギーの現状や、COVID-19による石油価格の乱高下によって、日本のエネルギーセキュリティへの影響を分析。
- 自然災害に対する電力システムのレジリエンスの強靱化と分散電源の活用や、デジタル制御技術の高度化(VPP、DR等)によって、あらゆる業界を巻き込んだ新ビジネスの可能性が拓かれてること。
- 脱炭素化社会に向けて運用開始となったパリ協定への対応として、日本は、2030年度の26%の温室効果ガス(CO2)削減目標にとどまることなく、更なる削減努力を追求していること。さらに、世界の温室効果ガスの実効的削減を進めるための新たな視点が求められていること。