AllSeenアライアンスのプロフィール
AllSeenアライアンス注1とは、オープンなLinuxOS注2の普及・促進を目的とするLinux Foundation(リナックスファウンデーション。2000年設立)によって、IoT/IoE(Internet of Things/ Everything、モノのインターネット/すべてをつなぐインターネット)の実現を目指して、2013年12月に設立された団体である。
米国クアルコムが開発したP2P(対等通信)型のデバイスの相互接続技術である「AllJoyn」(オールジョイン)をベースに、相互運用性をもつデバイスやサービスを提供するために、「オープンソースフレームワーク」および関連技術の開発と普及を目的としている。同アライアンスは、ハイアール(海爾集団:中国・大手家電)、LG Electronics(韓国)、パナソニック、クアルコム、シャープ、Silicon Image(米国:半導体)、TP-LINK(中国:通信機器)のプレミアメンバー7社を含む24社によって設立されたが、2015年6月時点では179社へと急成長している。
具体的には、さまざまな家電製品やスマートフォンなどのモバイル端末機器などにAllJoyn注3を搭載して相互連携を可能とし、IoT/IoEの普及促進を図っていく団体である。
AllSeenアライアンスがめざすソリューション
〔1〕現在のIoTの課題を解決する
今日のIoTでは、家庭の洗濯機、照明機器(電球)、冷蔵庫、テレビ、スピーカーなどのほか、タブレットやパソコンなど多くのアプリケーションがいろいろなクラウドにつながっている状況である。例えば、A社のデバイスはA社のクラウド、B社のデバイスはB社のクラウド、C社のデバイスはC社のクラウドと、個別にクラウドにつながっている。このため、A社、B社、C社のクラウド間で相互に通信する状況となっていない。
このように製品が相互に自由に通信できないことが、現在のIoTが抱えている大きな課題の1つとなっている。AllSeenアライアンスは、これらの課題を解決するためのソリューションやソフトウェアを開発するプロジェクトとして設立された。
〔2〕AllJoynは相互接続のための共通言語
これらの課題を解決するには、共通言語(後述する「AllJoynフレームワーク」)を開発して、各機器にその共通言語を搭載してスマートデバイス化すれば、各スマートデバイスは協調動作が可能となる。
これによって、従来の各デバイスは、製造メーカーや製品、通信方式、OSなどの違いを越えて、相互接続・管理、相互運用が実現できるようになる。現在、AllSeenアライアンスで開発されている「AllJoyn」は、さまざまなデバイスが共通に通信できる共通言語なのである。
▼ 注1
AllSeen(オールシーン)アライアンスとは、IoT/IoEを実現するためのオープンソースソフトウェアプロジェクトである「AllJoyn」(オールジョイン、後述)を監督する非営利のコンソーシアム。
▼ 注2
LinuxOS:Linus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏によって1991年に開発された、UNIX互換のOS(オペレーティングシステム)。その後、フリーソフトウェアとして公開され、最近では、企業のインターネットサーバをはじめ携帯電話やデジタル家電などの組込み機器OSとしても広く普及している。
▼ 注3
AllJoyn:米国クアルコムが開発し、現在オープンソース化されているP2P(対等通信)型のデバイス接続技術。