[クローズアップ]

M2Mの急速な普及拡大で、業界はIoT(モノ)からIoE(すべて)へ劇的に移行

─2014年はIoE元年となる─
2014/03/01
(土)
SmartGridニューズレター編集部

シスコシステムズ(以下、シスコ)は、このほど(2014年2月)最新の「モバイルデータ予測」(Cisco Visual Networking Index(VNI)を発表。シスコシステムズ バイスプレジデントのロバート・ペッパー(Robert Pepper)氏が、その全容を記者会見で披露した。ペッパー氏は、シスコがこれまで推進してきたIoT(モノのインターネット)は、M2Mの急速な普及などを背景に進化し、2014年はIoE(すべてのモノがインターネットにつながる)の時代に突入するとし、「2014 年はIoE 元年」になると宣言した。ここでは、記者会見の質疑応答のハイライトを紹介する。

M2M接続数が5年間に6倍も増大

記者会見にトップバッターとして登場した、ロバート・ペッパー(Robert Pepper、元FCCで活躍)氏は、最初に、世界のモバイルデータトラフィックの促進要素として、①モバイルユーザーの増加、②モバイル接続数の増加、③モバイル接続速度の向上、④モバイルビデオの増加、という4つを挙げて説明した。

この中で、世界で急速に普及拡大しているM2Mの接続数については、2013〜2018年の間に6倍も増加し、2018年には、20億(2.0B:2.0 Billion)のM2M接続なる、と解説(図1)。また、世界のM2M接続の半数以上で3G(第3世代)接続が使用されるようになる、と説明(4G接続については図1下段参照)した。その後、質疑応答に入った。ここでは、そのうち読者の関心が高いと思われる、M2Mの今後の有望なビジネス領域について紹介しよう。

図1 世界のM2M接続数の増加予測

図1 世界のM2M接続数の増加予測

〔出所 Cisco VNI Global Mobile Data Traffic Forecast、2013-2018〕

会場からの質問:今後、M2Mのどのようなビジネスが有望か

ロバート・ペッパー(Robert Pepper)氏

シスコシステムズ バイスプレジデント
ロバート・ペッパー(Robert Pepper)氏

【会場からの質問】:ペッパーさんのモバイルデータ予測(VNI)の説明の中で、M2Mに関する分析がかなり行われているが、M2Mに関して今後どのようなビジネスが立ち上がると見ておられるか。例えば、自動車の分野か、農業の分野か、スマートグリッドの分野か、医療の分野なのか。ペッパーさんのグループではどのように分析されているのでしょうか。

【ペッパー氏の回答①】:すべてです。

それに関しては、今言われた分野のすべてということになる。それらの分野で、M2Mが使用されるようになり、これは、業界がIoT(Internet of Things)からIoE(Internet of Everything)へ劇的に移行する現象と見ることができる。

すなわち、2014年という年は、IoTからIoEへの進化する市場の転換期であるといえる。私たちは経済学者も含めて、業界の動向と政府の動向の両面から、2010〜2020年の10年間にわたって予測を行っている。

各業界のセグメントから見ると、IoEでは人間がデータを生み出すのではなくモノもデータを生み出す。M2Mで生まれたデータを処理して使えるようになると、プロセス(価値を生み出すための仕組み)が変わる。プロセスが変わると人々の生活が変わる。するとそこに新しい価値が生まれる。

このことは、データがインフォメーション(情報)に変わることであり、インフォメーションが知識に変わり、知識がインポート(利用できるもの)に変わることを意味している。

次に、業界のM2Mの具体的事例を挙げて説明しよう。

【ペッパー氏の回答②】事例1:自動車

例えば、ユーザーが新モデルの高級車を購入したが、ドライブ中にオイルの圧力が変わったとしよう。自動車がM2Mでそのデータをメーカーに送信すると、メーカーはユーザーに「オイルを変えたほうがよい」と通知することができるようになる。このように、メーカーはほぼリアルタイムにデータを全世界の自動車から獲得できるようになり、故障の発生を未然に防げるようになる。さらに、それらのデータを分析することによって、メーカーは、自分の自動車の製造プロセスに反映させることができる。これは、自動車のエンジンやサスペンション(緩衝装置)などについても言えることである。

【ペッパー氏の回答③】事例2:航空機

一方、飛行機の場合は、部品点数が多いため何万個ものM2Mデータの収集ポイントがあるが、飛行機が飛ぶごとにデータを獲得できる。例えば、エンジンのデータがエンジンメーカーに送信されると、エンジンメーカーは、飛行機のエンジンのパフォーマンスなどの状態が、リアルタイムに把握でき、分析できるようになる。

分析の結果、ある部品を交換する必要があれば、エンジンメーカーは、すぐにでも航空会社に必要な部品を出荷(発送)しておき、飛行機が着陸した際に、すぐに部品を交換できるようになる。これによって、無駄な時間を省略できるとともに、事故防止にもつながる。これに関連して、関係する工場やサプライチェーンにも大きな付加価値が生まれるようになる。

このようなことは、ヘルスケア、スマートグリッド、小売りの分野でも起こることである。

【ペッパー氏の回答④】事例3:交通渋滞

また、都市部の交通渋滞の30%は、駐車場を探すために発生するといわれている。例えば、スペインのバルセロナに行くと、すべての駐車場にWi-Fiネットワークが導入されている。このため、どこに空いている駐車場があるかが、自動車の中からタブレット端末などで検索できるようになっている。これによって、渋滞がかなり解消されている。

このように、業界の区別なくあらゆる分野にM2M用のネットワークが敷設され始めているため、そのネットワークがM2Mの実現に大いに活躍しているのである。

したがってM2Mを広く普及させれば、すべての業界の垣根を超えて、通信できるようになり、新しいビジネスを創造できる可能性が大きくなるのである。

2014年は、まさにIoEを実現する元年なのである。

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