AllJoyn環境で実現される先進技術
〔1〕非AllJoynデバイスとの接続:DSB(デバイスシステムブリッジ)
しかし実際の環境では、AllJoynを搭載したデバイスと非AllJoynデバイスが混在することになるため、これらのデバイス間で通信できることが求められる。そこで、両者が通信できるようにする仕組みとして、図2に示すAllJoyn DSB(Device System Bridge、デバイスシステムブリッジ)が開発されて提供されている。
図2 AllJoyn DSB( Device System Bridge)の仕組み
例えば、図2に示すように、すでにAllJoynでは、広く普及しているBACnet注7やZ-Wave注8対応など、異なるプロトコルのデバイスが、AllJoyn環境下で通信ができるようになっている。現在のAllJoynバージョン15.04(2015年4月という意味)の次のリリースAllJoynバージョン15.09(2015年9月提供予定)では、さらにZigBee対応のデバイスとも通信ができるようになる。
〔2〕AllJoynによる「プロキシマルネットワーク」の実現
図3に、実際にAllJoynを搭載したデバイス環境において構築された家庭における「プロキシマルネットワーク」(Proxmal Netwok、近隣ネットワーク)の構成例を示す。
図3 家庭におけるプロキシマルネットワークの構成例
〔出所 AllSeen Alliance :「An Open Source project building the framework for the Internet of Things (IoT)」、June 2015〕
AllJoynが提供するインドアロケーションサービス(室内位置情報サービス)では、デバイスが自らの存在を知らせるために発する無線信号「ビーコン」(報知情報)によって、あるデバイスがどこにいるかということがわかると、それをトリガー(契機)にして、何らかのアクションを起こすことができる。例えば、お父さんが書斎を出たときに、部屋の照明をすぐに消すことが可能となる。また図3の右に示すように、AllJoyn Gateway Agentを介して、外出先(遠隔)から家庭の各機器を制御することが可能となる。
▼ 注7
BACnet:バックネット。Building Automation and Control Networking protocol、ビル・オートメーション/制御用ネットワークプロトコル規格(非IPのレイヤ3〜7プロトコル)。ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)で策定されANSI、ISO/IECで標準化された規格。
▼ 注8
Z-Wave:ゼットウェーブ。Zensys社(ゼンシス。1999年、デンマークに設立。2008年末に米シグマデザインが買収)とZ-Waveアライアンスとが共同で開発した近距離無線技術のひとつ。ホームネットワーク(HAN)やセンサーネットワークのような低消費電力、長時間運用を要求する装置のために設計された通信技術。800〜900MHz帯(日本では920MHz帯)を使用し、最大伝送速度100kbps、最大通信距離30m程度を実現。スマートハウス用の無線通信技術としても広く普及している。2012年にITU-T G.9959標準となった。