標準化のターゲットは「共通M2Mサービスレイヤ」
ここでETSITCM2Mの資料を参考に、もう少し具体的に見ていこう(図3)。
図3 M2Mアプリケーションの例とコア/アクセス/M2Mエリアネットワークのイメージ
〔出所OverviewofETSITCM2MActivitiesEnricoScarrone,「ETSITCM2MChairman,TelecomItaliaDavidBoswarthick,ETSITCM2MTechnicalOfficer」March2012、http://docbox.etsi.org/M2M/Open/Information/M2M_presentation.pdf〕
図3は左も側から、
- アプリケーション領域(M2Mアプリケーション等)
- サービスケーパビリティ(サービス機能)
- ネットワーク領域
- M2Mデバイス(機器:センサーやスマートメーター)領域
という構成になっている。M2Mアプリケーションとしては、具体的にスマトエナジ(グリッド)からスマトヘルス(e-ヘルス)に至るまで、さらにネットワークとしては用途により、
- コアネットワーク(例:3GPP、NGN等)
- アクセスネットワーク〔例:無線LAN、PLC、HFC(CATV)、衛星等〕
- M2Mエリアネットワーク(例:PLC、ZigBee、M-Bus等。M2Mデバイス領域のネットワーク)
の3つで構成されている。当初は、ネットワークに依存しない「サビス機能」を提供する共通M2Mサビスレイヤをタゲットにして、標準化が展開される予定である。
「ETSITCM2M」をベースにした標準化の展開
M2Mの標準化については、ETSIでの検討がかなり進んでいるため、oneM2M内の検討においてはETSIの影響、つまり前述したETSITC-M2M技術委員会の標準化の検討結果が強く反映されたものになると思われる。図4は、ETSITCM2M技術委員会の全体的な標準化活動の全体像を示したものであるが、図4中に示されているように、すでに多くのTR(TechnicalReport、技術報告)、TS(TechnicalSpecification、技術仕様)が策定されていることがわかる。ここでのTSは技術仕様であるため、拘束力のないTRよりも重要な位置づけとなる。
図4 ETSITCM2Mにおける各技術委員会の標準化活動(仕様策定)の状況
〔出所OverviewofETSITCM2MActivitiesEnricoScarrone、「ETSITCM2MChairman,TelecomItaliaDavidBoswarthick,ETSITCM2MTechnicalOfficer」、March2012、http://docbox.etsi.org/M2M/Open/Information/M2M_presentation.pdf〕
ETSIのTC-M2M技術委員会の審議状況はかなり進展していて、oneM2Mの基本的なアーキテクチャの検討はかなり進んでいると言えよう。一から始める標準と違ってoneM2Mの標準化のテンポは速い。
そのため、2012年の9月からスタートした技術総会では、このようなTC-M2Mの仕様をベースに議論することになった。他の機関からよほど強い意見がなければ、そのまま標準化されるという展開になる可能性もある。
このとき、例えばIPR(知的財産権)の扱いはどうなるのだろうか。
IPRについては3GPP(WCDMAやLTEの移動通信の標準化組織)においても、基本的にはその標準技術の中に本質的な必須特許が含まれている場合は、その特許の存在をあらかじめ宣言したうえで標準化し、その仕様を使いたい場合にはFRAND注2というポリシーに基づいて許諾が行われることになっている。
つまり、法外な値段でなく、公平にだれでも使える料金を条件にして標準化する、言い換えると、そういう条件でないと標準にはしない、という方法論に基づいているということなのだ。
▼注2
FRAND:Fair,ReasonableAndNon-Discriminatory。
「公平で合理的でかつ非差別的」に特許を許諾すること。