[スペシャルインタビュー]

ウィルコムの次世代PHS(XGP)戦略を聞く(4):次世代PHS(XGP)のロードマップ

2008/10/21
(火)
SmartGridニューズレター編集部

次世代ワイヤレス・ブロードバンドとして、WiMAXとともに2.5GHz帯の全国バンドを取得したウィルコムは、2009年4月のサービス開始に向けて、次世代PHS「XGP:eXtended Global Platform」を構築中です。次世代ワイヤレス・ブロードバンドについては、3GPPの「LTE」(Long Term Evolution)の標準化もほぼ完了し、その構築も活発化し、この三つどもえの戦いに大きな注目が集まっています。そこで、ウィルコムの技術分野の最高責任者であり、取締役 執行役員 副社長である近 義起(ちか よしおき)氏に、次世代PHS「XGP」について、そのシステムの特徴や設計コンセプトをはじめ、システム構築の現状からロードマップまでを思う存分語っていただきました。
最終回となる今回(第4回)は、
第1回 ウィルコムの次世代PHS(XGP)とは?
第2回 真のワイヤレス・ブロードバンドと次世代PHS(XGP)
第3回 次世代PHS(XGP)の6つのコンセプト
に続いて、新しいコア・モジュールと次世代PHS(XGP)のロードマップを中心に語っていただきました。

ウィルコムの次世代PHS(XGP)戦略を聞く(4):次世代PHS(XGP)のロードマップ

≪1≫活発な次世代PHSに向けて端末のモジュールの開発

■ ところで御社は、次世代PHSに向けて端末のモジュールの開発も活発ですね。

近 義起氏(ウィルコム 取締役 執行役員 副社長)
近 義起氏
(ウィルコム 取締役
執行役員 副社長)

 これまで当社では、バラエティのある端末を実現するために、図20に示すように、当初は「ジャケット」と言う名の無線モジュールを開発しいろいろな端末に搭載してPHS通信ができるようにしてきました。「ジャケット」は、R-SIM(Radio-Subscribe Identify Module、無線加入者識別モジュール)というモジュールに、PHS機能を集約し各種の端末に差し替えて使えるモジュールです。その後このR-SIMは、W-SIM(Willcom SIM)という新しい機能を付加したモジュール名に統一されました。

W-SIMは、ウィルコムのPHS通信機能と電話帳などの個人情報をもつ、超小型多機能通信モジュールで、その大きさは、横25.6mm×縦42.0mm×厚さ4.0mmと、SDカードを一回り大きくした程度です。対応端末(SIM-STYLE)に差し込むことで、さまざまな端末にPHS通信機能を使うことができるため、端末開発ベンダーは、無線通信技術部分の開発が不要となり、メーカー主導での端末開発が可能になり、PHS携帯端末、スマートフォン、パソコンに至るまでバラエティに富んだ端末群でPHS通信が楽しめるようになりました。


図20 PHSモジュール(クリックで拡大)


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