[特別レポート]

実用化モードに突入した日本版・次世代工場「Industry 4.1J」

― 個別に実験できる“IoTトライアルパック”を提供へ ―
2015/12/26
(土)
SmartGridニューズレター編集部

今後の展開:次世代へ向けたIoT-CPS委員会の立ち上げ

 これまで解説してきたように、Industry 4.1Jでは、インターネットを経由しないプライベートネットワークで、実際の生産現場であるビルや製造工場で、どの程度の通信性能が求められるのか、あるいは実現できるかの確認が行われている。これに加えて、現場でサイバー攻撃によるインシデントを検知したものを、クラウド上でどのように監視でき対処できるか、その仕組み、すなわち「サーベイランスシステム」をどのように構築すれば現場で使えるようになるかの実証が続けられてきた。そのために「IoTトライアルパック」が提供され、これで個々の現場で確認しながらIndustry 4.1Jの本格的導入が開始されていく。このように、Industry 4.1Jはすでに実用モードに突入し、2017年3月からは、本格的導入が開始される。

 このため、VECでは、Industry 4.1Jの次世代システムを目指して、より深く全面的なAI(人工知能)を活用したシステムの構築を目指して、IoT-CPS注7委員会を立ち上げ、その研究を開始している。

 今後、Industry 4.1Jプロジェクトは、ドイツのIndustrie 4.0や米国のIIC(Industrial Internet Consortium)とどのように共存するのか、あるいは競合していくのか。日本の将来にわたる製造業のビジネスモデルの在り方にまで迫る課題であるため、VECの今後の展開から目を離せない。

◎取材協力

村上 正志(むらかみ まさし)

村上 正志(むらかみ まさし)

VEC(Virtual Engineering Community)事務局長

1977〜1991年 日本ベーレー株式会社 システムエンジニア
1991〜1995年 画像処理VMEボードメーカーに従事
1995〜2015年3月 株式会社デジタル(2002年以降 Schneider Electric Group)
1999年6月〜 Virtual Engineering Community事務局長 兼 ソリューションアドバイザー、
現在に至る
2015年5月〜 株式会社ICS研究所 代表取締役社長 兼 所長

境野 哲(さかいの あきら)

NTTコミュニケーションズ株式会社 技術開発部 IoTクラウド戦略ユニット担当部長(ユニットリーダ―)

境野 哲(さかいの あきら)

1990年 日本電信電話株式会社に入社、社内基幹業務システムの開発を担当
1995年 さいたま新都心開発プロジェクト等を担当
2000年 新規ビジネスインキュベーション等を担当
2004年 パートナー営業/協業ビジネス開発等を担当
2010年 コンテンツ流通ビジネス開発、エネルギー管理/M2Mの技術開発を担当
2015年 IoT・ビックデータ関連サービスの技術開発ユニットリーダーに就任

堀越 崇(ほりこし たかし)

堀越 崇(ほりこし たかし)

NTTコミュニケーションズ株式会社 経営企画部IoT推進室

1999年 日本電信電話株式会社に入社、IPテレビ放送技術の研究に従事
2003年 株式会社ぷららネットワークス(現 株式会社NTTぷらら)サービス企画部、IPテレビサービス「ひかりTV」システムの設計・開発を担当
2008年 NTTレゾナント株式会社コマース事業部
2010年 同 サーチ事業部
2011年 NTTコミュニケーションズ先端IPアーキテクチャセンタ(現 技術開発部)
2015年 同 経営企画部IoT推進室(現職)、クラウド技術を応用した新しいIoTソリューションモデルの実現に取り組む

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