Volter Japanの設立準備と熱電併給(コージェネ)のパッケージ化の推進
〔1〕Volter Japanの設立準備進む
─編集部:日本ではどのようなかたちで事業化されるのでしょうか。
岩崎:熱電併給(コージェネレーション)のパッケージ化を進めています。現在、幸いにもさまざまなお客様から問い合わせをいただいておりますが、防災や農業、温浴施設での利用など、共通しいるのはやはり熱電併給の領域です。私たちとしても、この領域が社会的な意義が高く、かつ投資対効果が高いものと考えています。
また現在、国内での製造、メンテナンス強化を目的としてVolter Japanの設立準備を進めています。発電コストは燃料(木材)の相場によりますが、長期的にプラントコストを削減し、FITがなくても成立するシステムへと改善していく必要があるためです。
─編集部:CO2の問題に関してはどう捉えておけばいいでしょうか。
岩崎:燃料となる木質チップの輸送距離が長いと、距離に比例して自動車などのCO2が排出されることになります。その点については、近隣の特定地域から生み出された燃料のみをFITの対象とするなどの法整備が必要になると思います。
Volter 40は木質ガスをガスエンジンで燃焼させ、発電を行うため、CO2そのものは発生します。しかし、発生する熱エネルギーを余すことなく利用することで、エネルギー効率が最大78%(発電22%、熱
56%)注6となり、利用エネルギーあたりのCO2削減に大きく貢献することができます。
〔2〕バイオマス事業での売り上げは2016年後半から
─編集部:バイオマス事業で目指している収益の比率はどれくらいでしょう。
岩崎:収益の比率はまだ太陽光がほとんどですが、Volter40の販売目標としてまずは年間100基ほどの体制は作ろうと考えています。日本でのお目見えは2016年3月の国際バイオマス展からを予定しており、その後、秋田でVolter 40の実機を稼働させるビジターセンターを2016年春頃に完成させる予定です。製品納期の関係もあって、実際の売り上げが立つのは2016年後半、秋ぐらいからと見込んでいます。
超小型木質バイオマスは、どちらかというと熱電併給事業が主になってくるかと予想していますが、熱の法整備はまだ整っていないのが現状です。数年はFITを活用しつつ、同一敷地内で熱利用を行える事業者様への提供がメインとなると予想しています。
─編集部:バイオマスのFITについてはどのような見通しをされていますか?
岩崎:バイオマスはまだほとんど普及が促進されていないので、これからですね。熱供給がありますから、コジェネレーションや、より小さな発電出力の機器について売電単価が上がる可能性はあるのではないかと思っています。既存のバイオマス発電プラントではまだそれができるパッケージはありません。ただ、当社のVolter 40のような超小型CHPプラント(Combined Heat and Power Plant)の場合にはすぐ適用できるだろうと考えています。
超小型木質バイオマスなら、燃料を集めやすく、さらに熱を利用できる。Volter40の市場への提供を通して熱エネルギーを無駄なく利用でき、さらに、FITを利用して高い収益を生み出す機会の提供と、地域経済の循環促進に貢献していきたいと思っています。
─編集部:ありがとうございました。