2016年4月から提供する具体的なサービスと料金体系
〔1〕3つのエリア向けの料金プラン
─編集部:本年(2016年)4月から提供される東京電力のサービス面からの強みとアピールポイントはどのようなところでしょうか?
佐藤:4月から提供するサービスと料金体系については、1月7日に発表しています注6。
それらは大きく分けて、
- 東京電力サービスエリア
- 中部電力サービスエリア
- 関西電力サービスエリア
という3つのエリア向けの料金プランとなっています。例えば、東京電力サービスエリア向けには次のような料金プランを用意しています。
【東京電力サービスエリアの家庭向け料金プラン】現在の東電エリアでの家庭用契約口数約2,000万件
- スタンダードプラン:基本プラン
- プレミアムプラン:電気を多く使用する家庭向けのプラン
- スマートライフプラン:オール電化住宅向けのプラン
- 夜トクプラン:昼間は不在がちで夜型の家庭向けのプラン
そのほか、事業者やマンション共用部向けの料金プランなども提供いたします。
〔2〕家庭向けの主な料金プラン
─編集部:家庭向けには料金は安くなっているのでしょうか?
佐藤:図6に、家庭向けの主な料金プランについてその概要を示します。より詳しくは、注6のURLに示すプランを参照してください。当社の新しいプランの特徴は、単なる①「電気料金メニュー」だけでなく、②「お客さまにとってお得なサービス」と、③「暮らしまわりのサービス」の3つをセットにしたものとなっています。
料金メニューだけで見ますと、従来の料金よりもどれだけ得になるのか(得にならないケースもありますが)の金額は、従来の大体1〜5%という範囲です。新しい電力事業者の中には、東京電力の料金に比べて基本料金、従量料金ともに最大10%安くなるというメリットをアピールしているところもあります。ですから、料金単体だけで見ると、東京電力がすべての事業者より優位かというと、必ずしもそうではない面もあります。
─編集部:それはなぜですか。
佐藤:電気事業というのは公益事業のため、利益率が2〜3%程度とかなり低い事業なのです。したがって、値下げ原資を確保するためにはコストダウンをぎりぎりまで推し進めることが大事となります。
東京電力の場合、売り上げに占める総コストの内訳は、電源調達費が7割強、送配電に伴う電力の託送費が2割強、販売管理費(人件費など)が5%という構成になっています。
福島の復興という責任を果たすためにも、初年度の2016年度から黒字にしたいと思っているなかで、今回発表したプランはぎりぎりのラインを探った料金設定です。電気料金だけでは割引の限界がありますので、表2に示すように、より多くの他分野の企業(通信事業者やガス事業者、家電事業者、音楽配信事業者など)と提携注7し、セットプランなどによってお客さまに満足いただけるサービスの充実に継続的に努めてまいります。
表2 東京電力が提供するセットプランと提携先の21社注7(2016年1月7日現在)
出所 https://enechange.jp/articles/flash-tepco-alliance-matomeをもとに編集部作成
実際、2016年2月19日時点では30社との提携が実現していますが、さらに数十社と協議を重ねていますので、契約が整ったところから順次サービスを提供してまいります。
(後編につづく)
▼ 注6
新しい電気料金プラン[東京電力サービスエリアのお客さま向け]、http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu16_j/images1/160107j0102.pdf
▼ 注7
東京電力(株)「新しいサービスメニューについて」2016年1月7日の29頁参照、http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu16_j/images1/160107j0102.pdf