[スペシャルインタビュー]

シーメンス株式会社 代表取締役社長兼CEO 藤田 研一氏に聞く!シーメンスのVision2020+と日本における事業戦略

— デジタル化の中核はMindSphereとデジタルツイン —
2018/10/01
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

IoT時代に、第4次産業革命「インダストリー4.0」を推進するリーダーでもあるドイツのシーメンス(表1)は、2014年5月に発表した5カ年計画「Vision2020戦略」の目標を、計画より早く達成させ、2018年8月には次の10年に向けた「Vision2020+」を発表し業界を驚かせた。シーメンスはなぜ5カ年計画を早く達成できたのだろうか。
現在、同社は、IoTを自社のデジタル化戦略の中心に位置付け、顧客に新しいビジネスチャンスを提供している。デジタル化とは、デジタル技術を使用して事業運営を変革することであり、そのキーワードは、MindSphereとデジタルツインだ。
ここでは、シーメンス株式会社 代表取締役社長兼CEOである、藤田 研一(ふじた けんいち)氏に、シーメンスのVision2020+と日本における事業戦略をお聞きした。

表1 シーメンスのプロフィール(敬称略)

表1 シーメンスのプロフィール(敬称略)

出所 シーメンスの資料をもとに編集部で作成(1ユーロ=133円で換算)

「Vision 2020+」を発表した背景

─編集部 シーメンスが2014年5月に発表した、デジタル化(Digitalization)、オートメーション(Automation)、電化(Electrification)の3つ柱を成長分野として位置づけた5カ年計画「Vision2020戦略」は、当初の予定より早く目標を達成し、2018年8月に次の10年に向けて「Vision2020+」注1(図1)を発表されましたね。それはどのようにして実現されたのでしょうか。

図1 シーメンスのVision 2020からVision 2020+への展開

図1 シーメンスのVision 2020からVision 2020+への展開

出所 シーメンス記者会見資料「デジタル変革の可能性を解き放つ」、2018年9月6日

Kenichi Fujita

藤田 ありがとうございます。いや、実はその説明が一番難しいのですよ。ただ、ひたすら真面目に遂行した結果、そこに行き着いたわけなのです。

 シーメンスは、通常、事業戦略を立てる場合、市場環境にできるだけ早く適応できるように、まず市場予測から入ります。具体的には、将来の市場を形作るグローバルメガトレンドとして、人口動態をはじめ、都市化、デジタル化、グローバル化、気候変動など多様な国際状況を予測し、分析します(図2)。

図2 将来の市場を形作るグローバルメガトレンド

図2 将来の市場を形作るグローバルメガトレンド

出所 シーメンス記者会見資料「デジタル変革の可能性を解き放つ」、2018年9月6日

 次に、その基礎データを検証しながら、それが市場にどういう影響を与えるかを考え、会社の戦略の策定や事業のポートフォリオの組み替え(現状の事業の種類の見直し)などを行います。

 今回、目標を早く達成できた理由の1つは、私たちの予測より市場環境の変化が速かったためではないかと見ています。もう1つは、市場環境の予測に対応させた事業のポートフォリオの組み替えを実施したことです。シーメンスは、予測に基づいて、過去15年間でデジタル化へ1兆円強の投資を行い、事業計画の達成に必要なさまざまな企業の買収や統合を行ってきました(図3)。こうして買収・統合した企業との相乗効果が予想より早く出たこともあると思います。

図3 シーメンスの現在までの投資内容

図3 シーメンスの現在までの投資内容

出所 シーメンス記者会見資料「デジタル変革の可能性を解き放つ」、2018年9月6日

 もちろん、なかには発電事業のように市場自体がかなり冷え込んだ事業もありますが、そうした中でも、競合他社に比べると、ネガティブインパクトが少なかったこともプラス要因でした。このように、予測した市場環境に適応することが、思ったよりうまくいった要因かと思います。


▼ 注1
2018年8月1日、シーメンス、Vision2020+戦略を発表

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