この整備事業は、再生可能エネルギーの中ではコストが相対的に低い風力発電の導入拡大のため、風力発電の適地を重点整備地区(北海道北部西名寄地区などをはじめ下北半島、津軽半島、秋田沿岸・酒田・庄内地域など)と定めて、当該地域内において送電網を整備する民間事業者を支援するというもの。併せて、そのビジネスモデルや技術課題の実証を行う。これによって、首都圏など大消費地圏への送電の可能性がでてくる。
この事業のきっかけとなったのは、地域的には北海道や東北の一部に限られるものの、風の強さが一定以上あり、大規模な風力発電を展開できること、その一方で、これらの地域は現在、送電網が脆弱なため風力発電から発電される希望量の電力を電力会社が接続できない(送電できない)状況にあったことである。
具体的な施策(図)としては、風力関係の民間事業者が過半を出資(残りは一般電気事業者が出資)する特定目的会社を設立し、風力発電事業者が支払う利用料で投資を回収するというもの。ただし、採算性が悪いので、事業費の1/2を国が補助するとしている。
発電電力量が天候(風況)によって変化するなど、不安定な再生可能エネルギーが急増していくことに対応するため、本整備事業には大規模な蓄電池の開発とともに、騒音などの環境問題も同時に抱えており、これらの諸課題が解決されることも期待されている。
図 北海道・東北地域の風力発電拡大に向けた送電網整備事業の仕組み
〔出所 第8回調達価格等算定委員会(経産省:1月21日開催)、配布資料 資料2「平成25年度調達価格検討用基礎資料」、 http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/008_02_00.pdf 〕