工場におけるデマンドレスポンス適用の例
次に、具体的なデマンドレスポンスの例を見てみよう。図3と図4に、工場における1日 24時間の電力の需要(デマンド)と工場内のデマンドレスポンスの例(14%のピーク電力の削減)を示す。
図3 工場内の設備ごとのデマンド(電力需要)の状況
〔出所 東光電気資料より〕
図3は、工場内の設備ごとのデマンド(電力需要)の状況のグラフで、
- 工場全体のデマンドのピーク(午前8時30分)
- 工場全体のデマンド
- 設備個々のデマンド
を示している。
図4は、図3の工場全体のデマンドのピーク(午前8時30分)時に、デマンドレスポンスを適用した例である。図4からわかるように、ピーク時の8時30分にデマンドレスポンスを実施することによって、ピーク電力は93.5kWから80.3kWへと13.2kW(=93.5kW-80.3kW)減少、すなわち14%(=3.2kW÷93.5kW)のピーク電力の削減効果を上げていることがわかる。電力需要を抑制することによって、現在必要なピーク時のインフラの14%が不要(節約)となるのである。
図4 工場内のデマンドレスポンスの例(14%のピーク電力の削減)
〔出所 東光電気資料より〕
このように、デマンドレスポンスの必要性というのは、例えば、「自分の工場の中を自分で制御するということに対してのデマンドレスポンス」ということであるとすれば、それは、自社の工場について自社で責任をもつという視点から、正しい手段であろう。
一方、自分で制御するのとは別に、電力会社側から消費者に対して、電力の使用制御(デマンドレスポンス)をかけてしまうことになると、果たしてトラブルが発生した場合に、どこまでが「誰の責任」になるのか、という議論になってしまう。このような議論は、いわゆる社会観のようなものになるかもしれないが、全体の仕組み(システム)として、新しく登場したアグリゲータが描き得る(責任をもてる)システムなのかどうか、そこは大いに議論をして、しかるべき結論を出すべき課題だと考える。
(第7回に続く)