電気自動車の定義を改めて整理する
電気自動車の記事についての冒頭で燃料電池自動車の話題を取り上げたことに違和感を感じた方もいるのではないだろうか。確かに燃料電池自動車は厳密な意味での「電気自動車」ではないかもしれない。しかし、一般的に図1で示すように、現在では「電気自動車」という言葉は広義に解釈され、狭義の電気自動車のほか、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、そして燃料電池車なども含んでいる。
図1 電気自動車等の分類
〔出所 「環境・新エネルギー産業を支える中小企業の技術と新たなビジネスチャンス 〜太陽電池・風力発電・電気自動車・省エネを支える環境技術の実態〜」、http://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/soukenrepo_12_03_27.pdf〕
紙面の都合上それぞれの定義は割愛するが、この記事で「電気自動車」と呼ぶ場合、先ほど挙げた4種類の自動車を含むものとする。
世界における電気自動車の導入状況
図2 EVI加盟国における電気自動車の導入状況(単位:台)
〔出所 「Global EV Outlook - Understanding the Electric Vehicle Landscape to 2020」のデータを元に著者作成 〕
世界における電気自動車の導入状況は、EVI(Electric Vehicles Initiatives、電気自動車イニシアティブ)とIEA(Internatio-nal Energy Agency、国際エネルギー機関)がまとめ、“Global EV Outlook”というレポートとして定期的に公開している。
EVIは、2010年にクリーンテクノロジーのイノベーションや導入を促進していくためのグローバルパートナーシップを創設することを目的に設置されたクリーンエネルギー閣僚会議注2によって立ち上げられた11のイニシアティブの1つであり、世界における電気自動車の普及促進を目的として活動している。現在はIEAのほか、欧米、アジア、アフリカから15カ国が参加している。
EVIが2013年6月に発行した“Global EV Outloook”の最新レポートによると、2012年時点で、EVIに参加している15カ国を含む世界全体の電気自動車総導入台数は、18万台を超えている。この18万台超の導入台数のうち、9割をEVI加盟国の導入数が占めている(EVI加盟国とその内訳は図2参照)。
その中でももっとも導入が進んでいるのが米国で、現在の導入台数は7万台を超えている。これは世界全体の38%に相当する値である。米国に次いで多いのが日本で、約4万5000台とされている。これは世界全体の24%に相当する。世界第3位はフランスの2万台で、シェアにして11%となっている。現在は、これら3カ国、つまり米国、日本、フランスで世界の導入台数の7割以上を占めている状況である。
また、単年の電気自動車の導入台数は、2012年では導入台数は11万3000台、2011年では4万5000台と報告されている。この数値から見ると、2012年は前年の約2.5倍の導入台数だったことがわかる。
▼ 注1
国連自動車基準調和世界フォーラム第160回会合の結果について(http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000133.html)
▼ 注2
クリーンエネルギー閣僚会議(Clean Energy Minis-terial):クリーンテクノロジーのイノベーションや導入を推進していくためのグローバルパートナーシップ。2010年7月19日と20日の2日間にわたって第1回目の会合が開催された。今後、クリーンエネルギーの導入を加速していくため、その場でEVIを含む11のイニシアティブ(取り組み)が立ち上げられた。