[特集]

直流給電をめぐるQ&A

2013/12/01
(日)
SmartGridニューズレター編集部

変換技術:変圧器・コンバータ・インバータの違いについて教えて下さい。

表2 インバータとコンバータの違い

表2 インバータとコンバータの違い

表3 各種変換装置の一覧

表3 各種変換装置の一覧

直流や交流の変換技術や、直流と直流間の相互の変換技術として、変圧器やコンバータ、インバータなどが登場しているので、それを整理してみましょう。

変圧器やコンバータ(Converter、順変換)、インバータ(Inverter、逆変換)などは、いずれも電力を変換する装置です。変圧器とは電磁気的に電圧を上げたり下げたりする装置で、図3に示すように、基本的に鉄心(コア)と巻き線(コイル)で構成され、1次コイルの巻き線数と2次コイルの巻き線数の比を変化させて、交流電圧を変化させる方式です。

図3 変圧器(トランス)の仕組み

図3 変圧器(トランス)の仕組み

一方、インバータやコンバータの基本回路については他の専門書に譲りますが、それぞれの違いを表2に示します。

また、最近では新しい概念として、交流を交流に変換するAC-ACコンバータも登場してきています。各種変換装置の一覧を、表3に示します。

今後の夢:家庭が直流化される時期は?

〔1〕リードしているデータセンターの直流化

現在、直流給電で一番活発なのが、データセンターの直流化です。この傾向は、日本だけでなく世界的に見ても、一番現実的に直流給電をリードしています。

その大きな要因としては、データセンターでは、直流で動作するサーバやストレージなどの、いわゆるコンピュータを主体としてビジネスしているため、実際のビジネスの側面から、「省エネしたい」あるいは「コストを下げたい」などの顧客ニーズがあるからです。

〔2〕工場やビルの直流給電は?

データセンター以外には、商業ビルや工場などにおいて、世界的に直流給電化への動きが徐々に出てきています。頭1つ抜け出しているのが日本の取り組みですが、欧州や米国、韓国も、日本に近い状況だと考えられます。

〔3〕直流家電の登場は?

再生可能エネルギーである太陽光発電で、自分の家の中で電気をまかなえる状況になった場合、将来的には、新しい家電機器として「直流(DC)家電製品」が出てくることが予想され、すでに各国のメーカーでは開発が進められています。

太陽光発電で発電された直流をダイレクトに家電で使えるような仕組みがあれば、直流家電の可能性はあるでしょう。しかし、現在はその仕組みがありません。

技術的には、今すぐにでも家庭への直流給電は実現可能なのです。ただ、いろいろな議論があり、家庭用の場合、新築(スマートハウス)は別として、屋内に既存のAC100Vの配線があるため、現在の交流の屋内配線と新しい直流配線を、どのように棲み分けていくかという問題もあります。しかし現在では、太陽電池を屋根に設置する割合が増加しているため、家庭内でも、ある部分まではすでに直流が敷設されているのです。

今後は、例えば、直流の太陽電池などから、1本だけ直流の配線を引き、直流のコンセントを設置するというようにすれば、直流給電が可能となります。このようなAC配線とDC配線が混在する、図4に示すようなハイブリッドの屋内配線システムが、1つの打開策として期待されています。

図4 太陽光発電とAC配線/DC配線のハイブリッド配線システムのイメージ

図4 太陽光発電とAC配線/DC配線のハイブリッド配線システムのイメージ

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