[特別レポート]

ZigBeeアライアンスがスマートグリッドの 「NAN」向け通信プロファイルを策定へ

2014/03/01
(土)
SmartGridニューズレター編集部

業務用や家庭用アプリケーション向け無線ソリューションの標準規格を策定するグローバルな標準化団体「ZigBee アライアンス」は、新しくスマートグリッドのNAN(Neighborhood Area Network、近隣通信網)向けの通信プロファイル(レイヤ1~4)を策定中であることを発表した。NANは、FAN(Field Area Network、地域通信網)ともいわれ、米国や日本でもFANと呼ばれることが多い。

このNANプロファイルは、スマートメーターやスマートグリッド分野に参入している企業の製品やソリューションが、お互いに相互接続できるようにすることを目的としている。

NANとは、広域ネットワークへのゲートウェイ(相互接続装置)となるデータ集約装置(コンセントレータ)と、各家庭のスマートメーターの間を接続するネットワーク(地域通信網)のことである(図1)。このネットワークは、電力会社やガス会社によって管理されており、屋外ネットワークの「ラスト1マイル」とも位置づけられる。日本では「Aルート」と表現されることもある。

図1 電力会社の運用システム(NANは「ラスト1マイル」)

図1 電力会社の運用システム(NANは「ラスト1マイル」)

〔出所 http://www.zigbee.org/Portals/0/documents/news/2014_01_27_Zigbee_Japanese.pdf

相互接続可能なNAN規格

世界の電力会社などでは、国際規格に準拠し、相互接続可能なNAN規格が求められている。このようなオープンな国際標準規格によって、製品やソリューション間のシームレスな相互接続が保証されるだけでなく、多くのベンダが参入可能となることで、コスト競争力の向上と供給リスクの低減を図ることが可能になる。

現在の電力会社やガス会社などのユーティリティ企業では、相互接続ができない独自技術に基づくシングルベンダのソリューションが利用されていることもあるため、相互接続可能なNAN規格の登場によって、電力会社などに大きな発展をもたらすことになる。

NAN向けのIEEE/IETF標準規格

NAN向けの標準規格としては、現在、IEEEやIETFなどの標準機関において、ベースとなる技術が既に標準化されているが、利用可能なオプションが多数存在するため、相互接続することが難しい。そこで、このNAN仕様において、各規格の最適なオプションを選択し、認証可能な相互接続性のある通信プロトコルを規定することによって、この問題を解決することになった。

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