[特別レポート]

フォグコンピューティングプラットフォーム「Cisco IOx」

─ M2MからIoT/IoE時代のビッグデータをいかに活用するか ─
2014/05/01
(木)

シスコシステムズ(以下シスコ)は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)時代のコンピューティングシステムとして同社が提唱している「フォグコンピューティング」を実現するアプリケーションプラットフォーム「Cisco IOx」を発表した(2014年2月)。本記事では、フォグコンピューティングとはどういうものなのか、そしてCisco IOxの概要と目指すものに関して、記者発表を元に紹介する(関連記事:本誌2013年3月号)。

IoT/IoE時代の到来

写真1 シスコシステムズ バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャInternet of Things(IoT)グループ ギド・ジュレ氏写真1 シスコシステムズ バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャInternet of Things(IoT)グループ ギド・ジュレ氏

シスコは、「IoT時代の新たなイノベーションを加速するCisco IOxフォグコンピューティングプラットフォーム」に関する記者発表を行った。

冒頭に登壇した同社バイスプレジデント兼ジェネラル マネージャInternet of Things(IoT)グループのギド・ジュレ(Guido Jouret)氏(写真1)は、2009年時点で、ネットワークにつながっているデバイスの数は地球上の人口(68億)よりも多く、2012年および13年には125億のデバイスがつながっており、モノとモノがつながるIoT(Internet of Things)の時代は既に始まっていると述べた。そして、これからの7年間、つまり2020年には、500億のデバイスがネットワークにつながり、「人」「データ」「プロセス」「モノ」などのすべてがつながる、IoE(Internet of Everything、すべてのものがつながるインターネット)の時代が到来すると述べた(図1、図2)。

図1 ネットワークにつながるデバイス数の推移予測図1 ネットワークにつながるデバイス数の推移予測
〔出所 シスコシステムズ 記者発表資料、2014年2月〕

図2 IoTとIoEの関係図2 IoTとIoEの関係

その理由として、ジュレ氏は、モノとモノをネットワークでつなげることで可能になる効率化によって、企業は大幅な経費の削減を行うことができるためだと述べた。GE(General Electric Company)の調査によれば、各産業において、例えば燃料の節約やシステムの効率化など、それが例え年に1%の改善であったとしても、15年間1%ずつ改善すると、金額に換算して2,760億ドルの経済的効果があるという(図3)。

図3 各産業の改善による経済効果分析図3 各産業の改善による経済効果分析
〔出所 シスコシステムズ 記者発表資料、2014年2月〕

同氏はまた、製造業やスマートシティを細かく検討した場合、更に大きな改善も目指せると指摘し、投資効率の良さから、企業は今後、現在ネットワークに「つながっていない」モノを「つなげていくこと」に投資を行うだろう、とも述べた。

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...