MaLionとは:IT資産管理と情報漏えい防止ソフト
このMaLion BEMSのベースとなっているソフト「MaLion」(マリオン)は、前述したように、IT資産管理と情報漏えい防止向けの企業用の統合管理ソフトである。
具体的には、コンプライアンス(法令遵守)の面から、例えば、会社で使用しているパソコンに関して、マイクロソフトのWindows OSのライセンス数の管理やバージョンの管理を行う。さらに、各パソコンがどのような組織でどのように使われ、誰が責任をもって管理しているかを把握する。さらに、セキュリティポリシーに基づいて部門によって端末の使い方を制限する、などの機能を備えている。
あるいは、USBは開発者にとって便利なツールであるが、安易に使用すると、個人情報が入っているUSBなどは紛失した際に情報の漏えいが生じてしまう。そのような情報の漏えいに対して、どのように対処するかという運用上の問題もセキュリティポリシーのもとに運用されている。
このようにMaLionは、企業における情報端末や関連機器が、どのような状態にあるかを一元管理し、運用を支援するソフトであり、すでに、1,000社以上で使用されている。
MaLion BEMSの特長
このような機能をもつMaLionをベースに、中小規模ビルおよびテナント企業の電力削減を支援する機能をもたせたソフトが、電力マネージメント用「MaLion BEMSクラウドサービス」(略称:MaLion BEMS)である。
これは図3に示すように、企業の組織単位における電力使用量管理から、企業の場所(エリア)単位での電力使用量管理、機器単位の電力使用量管理、「月」「日」「時間」でのきめ細かな電力使用量管理から、多地点の電力使用量の一括管理に至るまで、幅広い機能をもった電力削減を支援するクラウドサービスとなっている。
またこのMaLion BEMSは、企業の予算に応じて、初期費用を抑えて、次のように段階的に導入することによって、機能を拡張していくことが可能となっている。
- 【Step1】空調・照明・コンセントの電力量の可視化と削減
- 【Step2】OA機器(コンセント)の電力量の可視化と削減、スマートタップ導入
- 【Step3】電力器機の稼働情報と自動制御による削減、各種センサー導入
電力使用量の見える化の例
ここで、具体的にMaLion BEMSによる電力使用量の見える化の例を挙げてみよう。
図4は、ある企業の電力使用量の見える化の画面例である。図4の左側には、同社の管理基盤となる各部門の管理ツリーが示されている。会社によって管理基盤は異なるが、この場合は、管理基盤として、大きく、
- 組織ツリー(製造部、研究本部、管理本部など)
- 場所ツリー(工場棟、事務棟など)
- 系統ツリー(電力系統:1A、1Bなど)
などがあるが、図4はこのうち組織ツリーにおける電力使用量の見える化の画面例を示している。
図4右側上部の「機器の管理」に示すように、表示画面には「各機器管理部門の見える化」や、「設置場所の見える化」のアイコンが表示され、クリックすると各アイコンの内容(管理内容)が表示される。
使用電力表示は、図4右下に拡大して示すが、
- 使用電力は30分毎に棒グラフで表示する
- 使用電力の目標値は赤線、警告値注2は黄線で表示し、使用値が目標値(赤線)や警告値(黄線)を超えた場合、棒グラフの表示色を変更する
仕組みとなっている。
▼ 注2
警告値とは目標値達成に向けたチェックの値。