IVIの「プラットフォーム構想」と今後のロードマップ
写真2 IVI理事長 西岡靖之氏(法政大学教授)
最後に、IVI理事長 西岡靖之 法政大学教授(写真2)から、IVIが今後取り組むプラットフォーム構想やロードマップについての講演があった。
〔1〕プラットフォーム:「つなげる、伝える仕組み」の心臓部
最近、システムにおける「プラットフォーム」という用語が頻繁に登場するようになり、混乱して使用されている側面もある。IVIのWG活動におけるプラットフォームとは、
- 関連する業務が相互連携する仕組み
- 必要なデータを交換(つなぐ)または伝える仕組み
である(図2)。すなわち業務シナリオを、具体的なデータにして相手とつなげる仕組み(心臓部)が「プラットフォーム」である。報告事例を見ると、IVIの各WGでは、すでに多彩な「プラットフォーム」が実現できつつある。
図2 プラットフォームとは
出所 西岡 靖之:「-IVI今後の取り組み-IVIプラットフォーム計画」、平成28(2016)年3月10日、https://www.iv-i.org/docs/doc_160310_g05.pdf
プラットフォームについては、難しくとらえられがちな傾向があるが、複雑なものととらえるのではなく、
- 現場からのデータを集める道具
- 収集データを整理・管理するもの
- 整理・管理された収集データを他のシステムに伝えるもの
- 整理・管理された収集データをクラウド的に仲介できるようにするもの
として位置づけることが重要となる。
言い換えると、プラットフォームをそれぞれの機能を果たすパーツとして定義し、パーツ同士を組み合わせてプラットフォームを構築する。こうすると、業務シナリオに合わせて、ケースバイケースのプラットフォームが柔軟に実現可能となる。
〔2〕プラットフォームの構成要素
図3は、パーツとしてのさまざまなプラットフォームA、B、C、D(それぞれ構成要素が異なっている)を現場に配置したケースである。右下には、ユーザー企業(製造業)としてユーザー001、ユーザー002、ユーザー003があり、これらをつなげたいニーズがあったとする。
図3 プラットフォームの構成要素
出所 西岡 靖之:「-IVI今後の取り組み-IVIプラットフォーム計画」、平成28(2016)年3月10日、https://www.iv-i.org/docs/doc_160310_g05.pdf
この場合、当然のことながら、さまざまなネットワークや接続する機器(要素)などの「インフラ」が必要となる。さらに、計算や設計などに使用するCAD/CAM注5などの「アプリケーション」(プロファイル:機能仕様注6)が使用される。これらに加えて、つなげるための「プロトコル(通信手順)」や、中味としてのデータを定義する「オントロジー」(Ontology注7)も必要となる。
さらに、このようなアプリケーションがきちんとプラットフォームに乗って動作するかどうかを検証するための「テストベッド」が必要である。
このようにして初めて、つながるシステムが構築されることになる。
▼ 注5
Computer Aided Design/ Computer Aided Manufacturing
▼ 注6
プロファイル(Profile):全体システムを構築するうえでの構成要素となる製品やサブシステムが、どのような機能をもち、どのようなインタフェースをもつかを第三者が理解できるかたちでまとめたもの。
▼ 注7
オントロジー(Ontology):哲学では「存在論」を意味する用語であるが、情報分野などでは、コンセプト(概念)を扱う場合の体系的な知識に関する記述のことをいう。