[特集]

3.11震災時にも発電し続けた「仙台マイクログリッド」

─ 東北復興へ期待高まる日本初の品質別電力供給システム ─
2014/06/01
(日)

4. 2011年3月11日の震災発生時の「仙台マイクログリッド」の給電状況

以上、品質別電力供給システム(仙台マイクログリッド)のシステム構成の特徴や運用内容などを見てきたが、それでは、2011年3月11日の震災発生時のシステム給電状況はどのようであったのだろうか。図7は、震災発生時のシステムの給電状況を示したものである。図7からわかるように、直流・品質A、B1系統は、蓄電池とPV(太陽光発電)の組み合わせによって、停電中でも無瞬断で高品質電力の供給を継続していることがわかる。さらに、GE(ガスエンジン)手動起動後は、コージェネ発電によって、電気+熱を停電中にもかかわらず約43時間(2日弱)も供給し続けていることがわかる。 また、図8に示すように、大地震・津波によってガス供給減である仙台市の港工場が被災してしまったが、貯蔵タンクでもある「幸町供給所」のガスタンクから中圧ガスが継続して供給が続けられた。これは、中圧ガスの配管が耐震性に極めて高く破損しにくいことなどの特徴を備えていたからである。その数日後に、新潟パイプラインより供給が開始された。 このとき、一般家庭用の低圧ガスは地震から約2時間後に全面的に供給が停止され、ほぼ全域で復旧したのは大震災から実に25日後のことであった。


◆図7出所
「仙台マイクログリッド(品質別電力供給システム)の3.11 災害時の挙動」、2014年1月10日、NTTファシリティーズ

◆図8出所
「品質別電力供給システム(仙台マイクログリッド)の3.11 災害時の挙動について」、2014年1月10日、NTTファシリティーズ

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