NEDOは、「ドイツにおけるスマートコミュニティ実証事業」注1において、太陽光パネル、蓄電池、ヒートポンプ、HEMSを組み合わせたシステムの構築が完了し、実証運転を2016年5月30日(現地時間)から開始した(図参照)。
図 「ドイツにおけるスマートコミュニティ実証事業」のイメージ
同事業では、ドイツ・ラインラント=プファルツ州シュパイヤー市内の集合住宅(2棟×16戸)を実証サイトとして、日本の蓄電技術、ヒートポンプ温水器による蓄熱技術、情報通信技術を組み合わせて、太陽光発電の自家消費率を向上するシステムを構築し、需要家の経済的なメリット拡大や電力系統の安定運用に貢献するモデルを確立する。
現在、ドイツは電力需要の20%以上を再生可能エネルギーでまかなっており、2020年には35%、2050年には80%にする目標を掲げているが、太陽光発電のコスト低減に伴い、すでにグリッドパリティ注2が成立しており、固定価格買取制度(FIT)が事実上終了している。このため、太陽光発電設備を設置した需要家が、太陽光発電による発電電力を電力会社に売電するメリットが失われた状況になっている。
また、太陽光発電からの逆潮流は、配電線の容量制約や配電系統の電力品質低下の観点から受け入れられにくく、すでにインバータの出力抑制を住宅用太陽光発電設備にも課している。これらのことから、太陽光発電による発電電力を極力、自家消費し、電力会社に売電しないシステムを構築することが喫緊の課題となっている。
注1 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、(株)NTTドコモ、(株)NTTファシリティーズ、日立化成(株)、(株)日立情報通信エンジニアリングによる共同実証。2018年3月までの約2年間の実証。
注2 グリッドパリティ:再生可能エネルギーの発電コストが、電力系統から購入する電気料金と等しくなること。