JEITAの「スマート社会ソフトウェア専門委員会」の取り組み
このような超スマート社会(Society 5.0)を実現する中核的な役割を果たすのは、ソフトウェアである。このため、JEITAでは、既存の組織である「ソフトウェア事業委員会」の中に、新たに「スマート社会ソフトウェア専門委員会」を設置(2012年4月)して、当面、2020年のオリンピック・パラリンピックを念頭に置きながら、さらにそれ以降の2030年に向けて、交通・防災・エネルギー・環境・社会インフラ老朽化などの課題を含めて、次のような検討が重ねられてきた。
- 超スマート社会を取り巻く現状
- 超スマート社会実現に向けたユースケースの検討
- 超スマート社会実現に向けた課題
- 超スマート社会実現向けた提言
このような検討の中で、AI、ビッグデータ解析、IoTが浸透した超スマート社会の時代に、例えば、災害時に発生する多くの領域にまたがる錯綜した多様な情報(交通情報・避難情報・被害情報・医療情報・通信情報・エネルギー情報等々)を効果的に捕捉して(とらえて)、プログラマブルなソフトウェアによって、社会全体で有効な対応をできるようにする「Software Defined Society」なども、JST(科学技術振興機構注4)の協力を得ながら検討されてきた。
国際標準機関でも活発な審議へ
このような活動は、日本だけではなく国際的な動きともなってきており、活発な国際標準化活動が展開されている。図3に示すように、IECやISO、ITU-Tなどの国際標準機関においても、IoTを核に据えて、IoTおよびスマートシティに関する国際標準として、
- エネルギー分野
- 製造プロセス分野
- ビッグデータ分野
- サービス分野〔AAL(Active Assisted Living、積極生活支援)〕
- 福祉・介護分野(高齢化社会対応)
などの分野で検討が行われている。
図3 IoTおよびスマートシティに関する国際標準化動向
出所 千村保文、「超スマート社会」を創ろう!~超スマート社会コンセプト”Software Defined Society”の実装に向けて~」、2016年10月6日
超スマート社会のコンセプトデザインの例
国際標準化が検討されながら、同時にAI(人工知能)やビッグデータ解析、IoTが浸透した超スマート社会では、例えば、交通環境においては、図4に示す「スマートルートシティ」(コンセプトデザイン)のように、カーナビから得られる事前の渋滞情報(走行情報)を都市レベルで共有し、渋滞しないように多様な交通手段(水上バス・電車・バス・自動車・自転車等)が融通し合うことが可能となる。また、渋滞時の荷物の輸送にはドローンなどを活用することによって、全体的に人やモノの輸送が柔軟に対応できるようになる。
図4 超スマート社会のコンセプトデザイン:スマートルートシティの例
出所 千村保文、「超スマート社会」を創ろう!~超スマート社会コンセプト”Software Defined Society”の実装に向けて~」、2016年10月6日
(注4)JST:Japan Science and Technology Agency、国立研究開発法人 科学技術振興機構