リチウムイオン蓄電池における発火の事故への安全対策
図7 円筒形リチウムイオン電池(セル)の安全保護
出所 Panasonic Homes & Living:住宅用リチウムイオン蓄電システム(2016年7月時点)
リチウムイオン蓄電池については、最近、発火事故などが報道されているが、リチウムイオン蓄電池の安全性を見てみよう。
図7に、円筒形リチウムイオン電池(セル)の安全保護の仕組みを示す。前述したように1つのリチウムイオン蓄電池ユニット(モジュール)には、単三電池よりもやや大きい円筒形リチウムイオン電池(直径18㎜×高さ65㎜)が351本も格納されている。
リチウムイオン蓄電池の安全設計の面から、製造ラインにおける安全性を確保することを前提として、比較的小さい高密度、高容量の円筒形セルを採用し、それらを束ねて使うことを基本にしている。
- まず、1つのモジュールは351本の電池(セル)で構成されているが、セル自体に、セルCID(Current Interrupt Device)をはじめ、ガス排出弁、バランスのとれた正極材量などを開発して安全保護を行っている。
- 次にモジュールレベルで、事故などを察知したらすぐにモジュールの充放電を停止させる、あるいは、システムからモジュールを切り離すなどして、モジュールレベルでトラブルをくいとめる。
- あるいは、蓄電システム全体を切り離して対処する。
という三重の安全設計というポリシーで安全が担保されている。
スマートHEMS:その中核機器として「AiSEG2」を開発
パナソニックでは、家庭用のエネルギー管理システム(HEMS)として「スマートHEMS」も提供している。このスマートHEMSはエアコンや照明をはじめ、電動窓シャッター、天井埋込形空気清浄機、エコキュートなど、さまざまなスマートHEMS対応機器の遠隔操作を手元から可能にする。また「スマートHEMS」が家全体の電気使用量を計測し、自動でエアコンの節電運転や、照明の自動減光をしてくれるので、節電に役立つ。
さらに、太陽光の発電・売電量をはじめ、家全体の電気使用量、ガスや水道の使用量、湯量などを「見える化」するため、家族の省エネ意識も高めることができる。
また、図8に示すように、リチウムイオンの蓄電池システムが、「AiSEG2」(アイセグ・ツー注7)とつながることも可能となっている。
図8 パナソニックのスマートHEMS(中核機器:AiSEG2)の多彩な機能
スマートコスモ:住宅用分電盤〔電気を安全に使用するために必要な漏電ブレーカー(漏電遮断器)などを1つにまとめた箱のこと〕
出所 http://www2.panasonic.biz/es/densetsu/aiseg/merit/index.html
これによって、平常時にどれくらい蓄電されているかその蓄電容量の表示や、停電時に蓄電池の残容量がどれくらいあるか、使用可能時間はどれくらいかなどの表示も行われる(図9)。
図9 スマートHEMSとの連携で蓄電池の状態を見える化の表示例
出所 http://sumai.panasonic.jp/chikuden/lithium_panel/feature.html
▼ 注7
AiSEG2(アイセグ・ツー):スマートHEMSの中心になる機器で、「AI(かしこい):Artificial Intelligence」「SEG(エネルギー管理システム):Smart Energy Gateway」の略。