[特集]

パナソニックの住宅向け「新・蓄電池ビジネス戦略」

― 遠隔制御を見据えた創蓄連携システムで ‘卒FIT’ 市場をねらう ―
2017/03/06
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

今後の展開:蓄電池は単体からシステムビジネスの時代へ

 前述したように、今後、蓄電池のニーズは大幅に増えてくると予測されているが、マーケットは、蓄電池だけを単体でビジネスする時代から、創蓄連携システムとしたビジネスを展開していくフェーズにシフトしている。

 図12は、オーストラリアの電力会社が、各家庭の太陽光発電(PV)と蓄電池(SB:Storage Battery)を複数台連携させて展開するソリューションの例であり、まさに分散電源を束ねたVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所:ここでは仮想大型蓄電池)である。

図12 オーストラリアの電力会社が展開するVPPのイメージ図

図12 オーストラリアの電力会社が展開するVPPのイメージ図

PV:Photovoltaic、太陽光発電
出所 パナソニック「住宅向け創・蓄システムご参考資料」、2017年1月12日

 このようなVPP環境において、その地域の各家庭は契約した電力会社あるいはアグリゲータからネット経由で信号を受けて、仮想大型蓄電池として機能させ、電力会社に電力需給の平準化機能を提供することになる。これによって、電力系統の安定化や電力使用量の平準化を実現できるようになり、このことは、系統投資の削減にもつながる。

 現在、日本でもVPPについて多彩な実証実験が行われており、2017年3月にはその第1次の成果がまとまる予定である。

 ‘卒FIT’を重要なテーマとして位置づけ、「創蓄連携システム」を展開する、オーストラリアにおけるパナソニックの実証は、日本のVPPの商用化を実現する新しいパラダイムとして期待したい。

◎取材協力(敬称略)

柳 康裕(やなぎ やすひろ)

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 技術本部 システム開発センター 所長

松本 亮(まつもと りょう)

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター 企画開発部 部長

井藤 好克(いとう よしかつ)

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター 事業商品企画部 商品企画課 課長

石橋 興(いしばし こう)

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター 企画開発部 国内企画開発課 主務

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