実証試験スケジュールとプロジェクトの参加法人
〔1〕試験スケジュールの全体
ここで、同実証試験のスケジュールを見ていこう。
平成26(2014)年〜平成28(2016)年の3年間で調査ならびに事前検討、設備構築(第1、第2フェーズ)を行い、平成29(2017)年〜平成30(2018)の2年間で各種設備および機能の組み合せ試験を行い、最適運用を実証する(図4)。
図4 実証試験の全体スケジュール
出所 「将来の電力システム改革を見据えた離島系統における再エネ導入実証試験(新島プロジェクト)〜詳細〜」、東京大学、東京電力パワーグリッド、東光高岳、2017年3月17日
平成28(2016)年度の中間目標は以下の通りで、すでに終了している。
- 分散制御統合システム構築のための合理的な設備形成や運用手段の検討
- 実証試験に必要な試験設備・システムの開発および構築を完了
平成30(2019)年度においては、
- 需給シミュレーションシステムで得られた需給運用の基本的な考え方を実際の電力系統を使って実証
- 風力・太陽光発電の出力予測や調整電源の最適運用手法等を総合的に組み合わせた実証試験の実施
- 再エネ大量導入のための対策コストを指標とした、社会的コストミニマムとなる最適な設備形成・運用手段の確立
を最終目標としている。
〔2〕新島プロジェクトの参加法人と役割
同実証プロジェクトにおいては、図5に示すように、研究統括は東京大学 横山教授が、蓄熱システム、ヒートポンプによる実証試験の担当は東京大学 馬場准教授が、務める。
図5 新島実証試験プロジェクトの参加法人と役割
出所 「将来の電力システム改革を見据えた離島系統における再エネ導入実証試験(新島プロジェクト)〜概要〜」、東京大学、東京電力パワーグリッド、東光高岳、2017年3月17日
東京電力ホールディングスと東京電力パワーグリッドは、再エネを利用した発電設備の出力を予測、制御して需給のバランスを取りながら島内の電力系統を運用する。さらに、再エネによる発電設備を最大限受け入れられるように検討し、発電コストが最も経済的となるように各発電所を制御する「最適経済制御技術」の確立を目指す。最適経済制御技術に合わせて、これまで電力系統を運用して来た技術とノウハウも活用し、国内外での技術支援を提供することを目指す。
東光高岳は、リソースアグリゲーションなど、グループ単位での需給バランスを取るシステムを協調させる「分散型制御協調システム」を開発し、その効果を検証する。また、そのシステムを電力供給などの面から見た信頼性などを評価し、最適経済制御技術の確立に貢献する。
そのほか、電力中央研究所(発電機ガバナモデルの作成など)、日本気象協会(出力予測手法など)、NRIセキュアテクノロジーズ(セキュリティ対策、リスク分析など)も参画している。
◎取材協力
今田 博己(こんだ ひろみ)氏
東京電力パワーグリッド株式会社 経営企画室 技術企画グループ マネージャー
汐沢 武志(しおざわ たけし)氏
株式会社東光高岳 スマートグリッド事業推進部 統括マネージャー