2030年の再エネ大量導入を見据えた模擬実証試験
写真1 「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」新島実証設備の開所式の様子(2017年4月14日、東京都新島村 阿土山風力発電所にて)
左から、
東京電力パワーグリッド株式会社 常務取締役 江連 正一郎氏、
東京電力ホールディングス株式会社 代表執行役副社長 山口 博氏、
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 教授 横山 明彦氏、
経済産業省 室長補佐 山瀬 敦子氏、
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術 総合開発機構 理事 渡邉 誠氏、
東京都新島村 村長 青沼 邦和氏、
株式会社東光高岳 代表取締役社長 高津 浩明氏
写真提供 株式会社東光高岳
『エネルギー白書2016』(経産省 資源エネルギー庁)注2によると、2014年度の日本の総発電量のうち、水力を除く再エネの割合はわずか3.2%。一般水力の8.4%を加算しても11.6%である。日本の「長期エネルギー需給見通し」における、2030年に総発電量のうち再エネを22〜24%とする目標は、現状では遠いものと言わざるを得ない。
最大の理由は、再エネによる電力は、天候や時間帯によって出力が大きく変動してしまうという点にある。現在、各電力会社は、再エネによる発電量が大きくなると、火力発電の出力を落として、需要を超える量の電力が系統に流れないように制御している。
しかし、その方法でも制御しきれなくなっている地域が現れ始めている。東京電力パワーグリッド、中部電力、関西電力、中国電力を除く大手電力会社は、すでに系統に接続した太陽光発電設備の出力合計が、系統への接続可能電力量を超過してしまっている。すなわち、火力発電の出力制御では対応できないほどの出力の太陽光発電設備が系統につながっているということになる。このような事態に対処するため、東北電力などは、変電所に大容量蓄電池を設置して、需要以上に発電した太陽光の電力を一時吸収する試みを始めている。
今回の実証試験では、東京都の新島と式根島に両島の最大需要電力のおよそ24%を賄えるだけの太陽光発電設備と風力発電設備を設置し、併せて両島の各地に、蓄電池とヒートポンプや電気自動車用充電器などの需要家側エネルギーリソースを複数設置し、電力系統を安定稼働させることに挑む。