2040年に「地産地消再エネ100%」を目指すイオンモールの取り組み
― 「まちの発電所」や「V2AEON MALL」で地域に根ざした再エネ利用を促進 ―2022年11月13日 0:00
広大な敷地に様々な機能を有する多機能複合型商業施設、イオンモール。それが、大きく進化している。地域の安全・安心な暮らしだけでなく、豊かな自然環境の保護、資源循環、さらに脱炭素など、サステナブルな社会の実現のためのプラットフォームとして、今様々な取り組みを開始している。中でも脱炭素化は、「地産地消の再エネ100%」という特徴的な戦略を展開している。
イオン株式会社とその傘下のイオンモール株式会社(以下、イオンモール)でこれらの取り組みを推進している、渡邊 博史(わたなべ ひろふみ)氏に取材した。
イオンとイオンモールの現状
〔1〕イオングループの中核としてディベロッパー事業を担うイオンモール
イオンは、イオン株式会社を純粋持株会社とする企業グループで、GMS注1(総合スーパー)事業やヘルス&ウェルネス事業、総合金融事業など約300社で構成されている。グループ全体の営業収益は8.7兆円、従業員約56万人の規模をもつ(表1)。
その中でイオンモールはディベロッパー事業を担い、ショッピングモール「イオンモール」と都市型ショッピングセンター「OPA」の開発からその管理、運営を主な事業として行っている(図1)。事業は日本だけでなく中国やASEAN地域ヘも広げており、合計で198店舗(取材時点)を展開している(表2)。
図1 イオンモールの位置づけ
出所 イオンモール株式会社、「地域の脱炭素社会実現への貢献 ~地域とともにお客さまとともに地産地消の再生可能エネルギーを創出~」、2022年10月7日
表2 イオンモールの会社概要
※2016年3月に子会社化した都市型ショッピングセンター事業を展開する(株)OPA等の関連会社を含む。
出所 https://www.aeonmall.com/company/about/ より抜粋して作成
〔2〕イオン環境ビジョン:「2040年までに全店舗でCO2排出ゼロへ」
「イオンはお客さまに近い企業集団です。ですから、お客さまの変化を敏感に捉えてお応えしていくことができます」と渡邊氏は語る。
イオンでは基本理念として「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」を掲げ、さらに昨今の環境課題に対して「サステナビリティ基本方針」(表3)を制定し、環境面と社会面において、それぞれに重点課題を挙げ、その解決に取り組んでいる。環境面の重点課題としては、「脱炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「資源循環の促進」を掲げている。
表3 イオンのサステナビリティ基本方針とイオン脱炭素ビジョン
出所 イオンモール株式会社、「地域の脱炭素社会実現への貢献 ~地域とともにお客さまとともに地産地消の再生可能エネルギーを創出~」(2022年10月7日)、「イオン サステナビリティ基本方針」をもとに編集部で作成
イオンでは、脱炭素化へのビジョンとして2018年に、中間目標と達成目標をそれぞれ制定したが、2021年になって改訂されている(表3)。現在、2030年までにグループ内全店舗の使用電力の50%を再生可能エネルギー(以下、再エネ)に切り替え、2040年までに排出するCO2をゼロにすることを目標としている。
▼ 注1
GMS:General Merchandise Storeの略。