[特別レポート]

2030年の再エネ24%導入を目指した電力系統運用の実証試験が開始!

― 東京都の離島新島と式根島で模擬実証 ―
2017/05/11
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

分散協調システムの概要と再エネと蓄エネ組み合わせによる制御

 今回の実証試験では「リソースアグリゲーション」や「バランシンググループ」を想定し、複数の制御システムを互いに協調動作させる分散協調システムの実証も計画している(図3)。

図3 分散型制御協調システムのシステム概要

図3 分散型制御協調システムのシステム概要

DG:Diesel Generator、ディーゼル発電機
出所 「将来の電力システム改革を見据えた離島系統における再エネ導入実証試験(新島プロジェクト)〜詳細〜」、東京大学、東京電力パワーグリッド、東光高岳、2017年3月17日

 「リソースアグリゲーション」とは、個々の需要家の電力需要をまとめて計算し、需要家が個々にもつ発電設備や蓄電設備を制御して、再エネを利用した発電設備の出力を回避したり、系統を安定させたりする仕組みである。

 また、「バランシンググループ」とは、発電設備のグループと需要家のグループを複数設定し、それぞれのグループ単位で計画通り発電し、消費することを目指す仕組みである。

 さらに、再エネによる発電設備と蓄電池を3つの使い方に分けて、それらを最適に組み合わせて安定運用を目指す。3つの使い方とは次の通りである。

  1. 1つ目は、再エネによる発電設備が需要を超える量を発電しているときの「余剰対策制御」。蓄電池で余剰分を吸収しながら、発電設備の発電を制限するなどの方法で需要以上の電力が系統に流れることを防ぐ。
  2. 2つ目は、再エネによる発電設備の出力変動の速度や変動量を蓄電池を利用して緩和する「変動緩和制御」。
  3. 3つ目は「計画発電制御」。気候などの条件によって出力が大きく変動する再エネ電源を、蓄電池などを活用して事前に立てた計画の通りに出力を制御する。

 表2に、これらの制御ユースケースの例を示す。

表2 再エネ・蓄エネ制御概要(ユースケース)

表2 再エネ・蓄エネ制御概要(ユースケース)

出所 「将来の電力システム改革を見据えた離島系統における再エネ導入実証試験(新島プロジェクト)〜詳細〜」、東京大学、東京電力パワーグリッド、東光高岳、2017年3月17日

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