「総合エネルギー市場」のスタート:電力は300万kWへ
─編集部:「総合エネルギー市場」が本格的にスタートしましたが、御社のビジネス環境はどのように進展したのでしょうか?
小屋 電力小売事業の分野では、ガス・電気・サービスをまとめて提供する当社の「ずっともプラン」注8が好評をいただき、お陰様でスタートから現在までで電気契約は約76万件(2017年4月24日)となり、低圧分野(一般家庭や商店、コンビニなど)において「新電力NO.1」のポジションを確立することができました。
また、総合エネルギー市場を迎えた2年目(2017年4月)には、新たなサービスやガス料金メニューを提案し、今年度(2017年度)の目標である電気における契約件数累計100万件(図2)の達成に向けて、引き続き契約件数でNO.1の座を維持していくことを目標としています。加えて、東京ガスに切り替えていただいたお客さまに“東京ガスに任せて良かった”と思っていただけるよう、「満足度NO.1の真の電力会社=真電力NO.1」も目指していきます。
図2 低圧の顧客への電気契約数の目標(累計100万件)
─編集部:その実現に向けてどのような施策を展開されていますか。
小屋 これを推進するため、現在は競争力のある天然ガスによる火力発電を中心として約160万kWの電源設備(自社持分)を保有していますが、2020年には約300万kWに拡充していく予定です(表2の備考を参照)。
表2 東京ガスの発電所(共同で設立・運営している発電所もある)
また、前出の表1に示したように、当社のガス契約数は、約1,139万件(都市ガス取付メーター数。連結、2015年度)、ガス販売量は約155億1,985万m3(連結、2016年度)で、ガス業界では第1位となっています。今後も都市ガス事業における安定的なエネルギー供給の体制を目指して、原料調達とLNG基地・発電所の連携などを推進していきます。
図3に、東京ガスグループの発電所の所在やガスの供給体制を示しますが、都市ガスを一般家庭などのお客様(約1,139万)に供給する導管網の総延長は、62,505㎞(日本1位)となっています(2016年3月31日現在)注9。
図3 東京ガスグループの供給体制(導管網:総延長62,505㎞。2016年3月31日現在)
※販売・サービス網(東京ガスライフバル・エネスタ・エネフィット)
※※図3右下の数字は、東京ガスの小売販売事業の代理店の店舗数。
出所 「東京ガスCSRレポート2016」、2016年10月第2版
─編集部:再生可能エネルギー(以下、再エネ)についての取り組みはいかがでしょうか。
小屋 現状は表2の下段に示す通りです。今後、再エネ電源の拡大に向けて、太陽光、風力、バイオマスなどの再エネ電源全般については現在、福島県沿岸部風力発電構想における風況調査事業の継続に加えて、2017年2月には自然電力株式会社(本社:福岡県福岡市)との太陽光発電事業における提携を発表注10するなど、順次その拡大に努めています。
▼ 注8
「ずっとも」:東京ガスの顧客へのメッセージ用語で「あなたとずっと、今日よりもっと」という意味が込められている。「ずっともガス」「ずっとも電気」のプランがある。
http://home.tokyo-gas.co.jp/power/special/zuttomo.html
▼ 注9
詳しくは「東京ガスCSRレポート2016」(2016年10月第2版)を参照。CSRとはCorporate Social Responsibilityの略。企業の社会的責任のこと。
http://www.tokyo-gas.co.jp/csr/report_j/rightmenu/PDF/2016/csr2016_all.pdf