[クローズアップ]

MWC2018でアピールされた「SDGs」(持続可能な開発目標)

― 5Gモバイル技術が目標達成のために大きな役割 ―
2018/04/01
(日)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

 世界最大規模の国際モバイル産業見本市「MWC2018」が、GSMA(GSM Association、GSM協会)主催のもとに、2018年2月26日〜3月1日の4日間、スペイン・バルセロナで開催された。テーマは「Creating a Better Future」(より良い未来を創ろう)」。来場者数は204カ国から10万8,000名以上、出展社数は2,300社以上となった(注1)。
 ここでは、MWC2018のトピックについて紹介する。

5Gは1年前倒し:2019年からサービス開始へ

 MWC2018は、2017年12月に3GPPが、5G(第5世代モバイル)の新標準仕様「5G NR(5G New Radio、5Gの新無線方式仕様。正式にはNSA 5G NR)」の初版を策定し、1年前倒して2019年からのサービス開始を決めた直後とあって、5Gが注目された展示会となった。

 Non -Standalone(NSA、スタンドアロンではない)、つまり「スタンドアロンではない」新無線方式とは、5Gと4Gの一部を共存させるという意味で、いきなりすべてを5Gシステムにするのではなく、既存の4G(LTE)のコアネットワークと共存させて、徐々に5Gに移行していくということである。

 当面は、「4Gモバイル:スマホ⇒ LTE⇒ LTE基地局⇒ LTEコアネットワーク」という現在の4GモバイルシステムのLTEコアネットワークを使用して、「5Gモバイル:スマホ⇒ 5G NR ⇒ 5G NR基地局⇒ LTEコアネットワーク」という5Gモバイルシステムを構築する。

 すなわち、基地局までは「5G NR」で通信し、そこから先のコアネットワークは当面4GのLTEのコアネットワークを利用する。すべて5Gにする(SA 5G NR:Standalone 5G New Radio)には、まだ時間がかかるということなのである。

5GがSDGsに与える貢献をキャラクタで表現

 また、モバイル業界(GSMA)は、人類の緊急な課題として国連で策定されたSDGs注2の実現に向けて、全面的に取り組むことを決定した。GSMAは、バルセロナの著名なアーティスト集団「Brosmindスタジオ」と提携し、SDGsの17の開発目標(SDG1〜SDG17)をキャラクタで表現し、目標達成のための5Gモバイル技術の各役割を、会場の各所で大々的にアピールし、来場者から注目を集めた。

 例えば、パリ協定とも関連するSDG13では、5Gモバイル技術は、「気候変動やその影響に関する教育を促進し、さらに気候変動によって危機に直面している地域社会や国々におよぼすリスクや影響を軽減するシステムを構築するうえで、大きな役割を果たす」と位置付けている。


▼ 注1
https://sgforum.impress.co.jp/article/4500

▼ 注2
SDGs:Sustainable Development Goals、エス・デー・ジーズ。持続可能な開発目標(国連で2015年に策定された17の開発目標(SDGs)

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