[【創刊6周年記念】 発送電分離直前! 次世代の電力システムはどうあるべきか]

ビジネスフェーズに突入した日本のVPP(後編)

― VPPとEV車両情報を連携させる最新の関西VPPプロジェクト ―
2019/01/08
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

関西プロジェクトのVPP構築実証事業のシステム

 図2に示すように、VPPシステムの構成も大掛かりになっている。図2左に示す【主プロジェクト】と、右に示す【関連プロジェクト】が連携するように構成されている。

図2 関西プロジェクトのVPP構築実証事業のシステム構成図と2017年度の構築内容

図2 関西プロジェクトのVPP構築実証事業のシステム構成図と2017年度の構築内容

EVPS:Electric Vehicle Power Station、EVパワーステーション。EV(電気自動車)向けの充電器に、EVの蓄電池が貯めている電力を住宅に流す機能(V2H:Vehicle to Home)を追加したもの。EVPSサーバでこれを管理する。
EQ:EcoCute、エコキュート。ヒートポンプ技術を利用して、空気(大気)の熱で湯を沸かす電気給湯機。EQサーバでこれを管理する。
RF電池:Redox Flow cell、レドックスフロー電池。二次電池(充電可能電池)の一種
DRAS:Demand Response Automation Server、デマンドレスポンスオートメーションサーバ。電力会社と需要家との間で、DR(デマンドレスポンス)の要請や応答などの制御情報(DRシグナル)の送受信を自動的に行う機能をもったサーバ。
ERAB(エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス)に関するサイバーセキュリティガイドライン
出所 関西電力資料 参考サイト http://www.iae.or.jp/2017/04/07/vpp20170407/#houkokuhttp://www.iae.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/09/06_201809_kanden.pdf

〔1〕主プロジェクト

 図2左に示す【主プロジェクト】側では、次のような機能が構築された。

  1. 統合サーバが設置されているアグリゲーションコーディネーター(AC、関西電力)と、その上位の系統運用者、小売事業者、再エネ事業者などへのサービス提供先との連携機能(統合サーバ。注:アグリゲーションコーディネーターは、以前「親アグリゲーター」と呼ばれていた)
  2. アグリゲーションコーディネーター(統合サーバ)と、その下位リソースサーバ(大型蓄電池サーバ、EVPSサーバ、EQサーバなど。リソースアグリゲーター側に設置)との連携機能(注:リソースアグリゲーターは、以前「子アグリゲーター」と呼ばれていた)

〔2〕関連プロジェクト

 図2右に示す【関連プロジェクト】側は、各メーカーがリソースを集め、メーカー独自のサーバ遠隔監視制御(リソースアグリゲーション機能)が構築された。

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