[特別レポート]

欧州最大のエネルギー業界の展示会 European Utility Week 2014 注目企業レポート<前編>

2014/11/06
(木)
SmartGridニューズレター編集部

2014年11月4から6日まで、オランダ・アムステルダムのRAI Convention Centreにおいて、欧州最大のエネルギー業界の展示会「European Utility Week 2014」が開催されている。
ここでは、同展示会に出展している、注目企業の展示内容について紹介する。

東芝・Lndis+GyerのAutomated Networking Management(自動配電線管理システム)

東芝・Lndis+Gyerブースでは、自動配電線管理システム(Automated Networking Management)を展示。近年増加している太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーやEV蓄電池などの系統への導入によって発生する、電圧の上昇(±10%制限)や、逆潮流現象などに対応するため、自動でモニタリングして管理し、問題解決を図るというもの。
 
具体的には、配電線に設置されているセンサーが状態を測定し、μEMSコントローラ(写真1)に情報を送り集約する。同コントローラは、スマートコンバータの出力抑制や、負荷の入り切り、蓄電池システムの出力調整など、最適な調整量を決定して各機器に制御信号を送り管理する。このコントローラを導入することで、再生可能エネルギーが大量導入された場合でも、配電線を新しく引き直すことなく、既存の配電線で運用可能になる。
 
基本的には、1つのコントローラで1つの中圧配電線を管理するが、複数の配電線にまたがり、複数のコントローラが配置された場合には、コントローラ間の調整は上位のサーバ(写真1左端)で行われることになる。
 
コントローラ隣の「S650」は、スマートメーター「E650」のソフトをスマートグリッド用に強化したもので、スマートグリッドターミナルと呼ばれている。同機器はスマートメーター機能のほかに、スマートグリッドに必要なリアルタイムにデータを取り込んで上位のμEMSコントローラに送ることができる。また、μEMSからの制御信号をこのターミナルで受けて、ここから各対象機器に送信する。
 
同システムは、自動化することで問題発生個所に対してピンポイント、かつ既存システムを変えることなく管理できる。実際にスペインの研究機関・TECNALIA(テクナリア)で実証プロジェクトが行われ、その結果はホワイトペーパーで発表されている。
 

写真1 Automated Networking ManagementのμEMSコントローラとスマートグリッドターミナル「S650」(左から順に)

写真1 Automated Networking ManagementのμEMSコントローラとスマートグリッドターミナル「S650」(左から順に)

 

写真2 Automated Networking Management全体のシステム構成

写真2 Automated Networking Management全体のシステム構成

 

時間ごとに最適な温度を学習する「Nest Thermostat」

Nest Labsは、同社が開発している学習機能付きのサーモスタット「Nest Thermostat」を展示。本製品は、ユーザーが家庭内に設置したサーモスタットを利用して、その時々に合った温度を設定することで、サーモスタット自体が、どの時間にどの温度にするとその家庭にもっとも適しているかを学習し、自動的に設定を行うようになる(スマートフォンからの操作も可能)。
 
また、同製品にはモーションセンサーも搭載しており、「人がいなくなったら暖房を緩める」などの学習もできる。学習する時間のスパンは1週間単位で、「何曜日の何時に何度に設定する」ということを学習する。これらの内容については、サーモスタットで確認することができ、手動で修正を行うことも可能である。
 
同社によれば、現在は主に北米での展開が中心で、北米と同じくサーモスタットによる空調の集中管理が普及している欧州にも展開を進めていきたいとしている。日本については、サーモスタットを導入している家庭が少ないため、展開については未定の模様である。

写真3 Nest Thermostat

写真3 Nest Thermostat

エネルギー事業者向けデータマネージメントプラットフォーム「enegryworx」

Googleは、同社の展開するクラウドサービスであるGoogle Cloud Platformの紹介を行うとともに、Google Could Platformのパートナーであり、スマートメーターからのデータを集積し、分析するサービス「energyworx」について展示。
 
energyworxは、オランダを拠点とするEnergyworx Solutions & Services社が提供しているビッグデータのマネージメントプラットフォームで、スマートメーターなどから取得するデータを集積して分析する目的で開発されており、エネルギー事業者に向けて提供されている。
 
energyworxとGoogle Could Platformがパートナーとして連携している背景には、将来的にスマートメーターの数が増え、収集するデータ容量が増加した場合にも、Google Cloud Platformを利用することで、柔軟にデータの蓄積容量を増やすことができるためである。
 
energyworxはAPIも公開しており、企業が、自分たちの提供したいサービスに合わせて、どのようなデータを取得してどのように分析するかをカスタマイズした独自のアプリケーションを作成することができる。

写真4 energyworxの概念図

写真4 energyworxの概念図

 

フランスのスマートコミュニティ実証をリードするERDF(Electricite Reseau Distribution France)

フランスで送配電ビジネスを行っている企業であるERDFは、現在、同社がフランスにおいて進めているスマートグリッドやスマートコミュニティの実証実験プロジェクトの内容を展示。同社は、フランス本土の95%の送電網について管理とマネージメントを行っている。
 
同社が参画しているプロジェクトは15に及び、その中のひとつであるLYON SMART COMMUNITYには、日本からはNEDOと東芝、三菱自動車などが参加している。同プロジェクトでは、下記4つの課題に取り組んでいる。
 
(1)BEMS/HEMSおよび省エネ設備の導入により、ビル全体で消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを作り出す「ポジティブ・エナジー・ビルディング」(PEB) の実証
(2)太陽光発電を活用したEV(電気自動車)充電管理システムとカーシェアリング
(3)家庭内エネルギーモニタリングシステム 
(4)コミュニティマネジメントシステム(CMS) によるリアルタイムのエネルギー情報の指標化
 
ERDFは、(2)のEV活用において、再生可能エネルギーの発電量の予測に基づき、EVの充電の最適化について調査を行っている。この調査結果は、コミュニティにおける最適なEVの充電ステーションの設置数や設置場所などの分析に役立てられる。
 

写真5 ERDFの展示の様子(フランスブース内)

写真5 ERDFの展示の様子(フランスブース内)

 

■Wi-SUN Alliance

Wi-SUN Allianceは、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Networks)規格による通信試験を行うための、ラピスセミコンダクタ製評価ボードなどを展示。
 
同規格については、TTC標準仕様「JJ-300.10」でも規定されているECHONET Lite用のWi-SUN規格が、東京電力の「Bルート」用無線通信方式としてスマートメーターに採用され、2,700万世帯を管轄する東京電力管内で2014年4月10日から設置が開始されていることで注目を集めている。
 
なお、Wi-SUN規格については、2014年11月11日(火)に発刊する『920IP(ZigBee IP)とWi-SUN標準2015』に詳しく掲載されているので、ぜひご覧いただきたい。
 

写真6 ラピスセミコンダクタ製のWi-SUN評価ボード

写真6 ラピスセミコンダクタ製のWi-SUN評価ボード

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