具体的なマイクログリッドの構成例
図8に、マイクログリッドの形態のうち、「系統連系・解列型マイクログリッド(Island able、ハイブリッド型)」の具体的な構成例を示す。
図8 系統連系・解列型(Island able)マイクログリッドの構成例
HMI:Human Machine Interface、ヒューマンマシンインタフェース
SCADA(スキャダ):Supervisory Control And Data Acquisition、産業用制御システム。コンピュータによってシステム監視やプロセス制御(生産設備の制御)を行うシステム
BMS:Building Management System、ビル管理システム
Microgrid EMS:Microgrid Energy Management System、マイクログリッドエネルギー管理システム
Microgrid PMS:Microgrid Power Management System、マイクログリッド電力管理システム
CHP:Combined Heat and Power、熱電併給システム。コジェネレーションシステム(CGS:Co-Generation System)とも言われる
出所 シュナイダーエレクトリック 提供資料、2019年4月8日
図8を大きく分けて見ると、上部のクラウド側に「EcoStruxure Microgrid Advisor」(アプリ・アナリティクス・サービス機能)が、中段以下のビル・工場などの対象施設側にはEcoStruxure Microgrid Operations(エッジコントロール機能)が配置され、最下段の電力計や太陽光パネル、発電機などのConnected Devices(コネクテッドデバイス)を制御している。
停電が発生した場合は、マイクログリッドをエッジコントロール部(EcoStruxure Microgrid Operations)で系統と切り離し、自立運転して施設への電力供給を維持する仕組みとなっている(マイクログリッド内の発電と消費電力のバランスは導入時に考慮されている)。
最新のマイクログリッドの導入事例
写真1 フィンランドの物流センター「Lidl Distribution Center」の外観
出所 シュナイダーエレクトリック「パワーシステム事業に関する記者発表会」、2019年4月8日
写真2 タイ国営電力本部「EGAT Headquarters Bangkok」の外観
出所 シュナイダーエレクトリック「パワーシステム事業に関する記者発表会」、2019年4月8日
次に、代表的な最新のマイクログリッドの導入例を紹介しよう。
〔1〕フィンランドの物流センター
写真1は、フィンランド最大の物流センター「Lidle(リドル) Distribution Center」の外観である。この物流センターに導入されたマイクログリッドの形態は、前述した系統連携型(Grid-tied)で、電力容量は4MWのメガソーラーである。すでに、2019年の年初から稼働している。
ソリューションとしては、EcoStruxure Microgrid Advisorが使用され、電力と熱を「いつ創り、消費し、貯蔵し、販売するか」を最適化する。今後の目標として、デマンドレスポンス市場への参画なども検討されている。
〔2〕タイ・バンコックのタイ国営電力本部
写真2は、タイ国営電力本部「EGAT Headquarters Bangkok」の外観である。導入されたマイクログリッドの形態は、系統連系・解列型(Island able)で、電力容量は450kWとなっている。現在、2019年末の稼働を目指して、構築中である。
ソリューションとしては、
さらに、タイでは停電が多いため、
- EcoStruxure Microgrid Advisorが使用され、電力と熱を「いつ創り、消費し、貯蔵し、販売するか」を最適化する。
- EcoStruxure Microgrid Operationsも使用され、停電時に系統から切り離した(解列した)後も、電力を安定的に供給できるシステムとなっている。
今後の目標として、デマンドレスポンスを使用して、料金を調整し収入を増やすことや、ブロックチェーンを利用したエネルギー取引の実証などを行う予定となっている。