EcoStruxureの誕生とEcoStruxure Microgrid
ここで、前述したシュナイダーのデジタルテクノロジーの心臓部であり、IoT戦略のフレームワークでもある「EcoStruxure」を見てみよう。
〔1〕EcoStruxure:6つのフレームワーク
シュナイダーは、ビルや電力グリッド、工場・プラント、データセンター(IT)など向けに、IoT対応ソリューションを提供するため、3層から成る次世代「EcoStruxure」(エコストラクチャ)アーキテクチャおよびプラットフォームを、2016年11月に発表している。
EcoStruxureは、
- 4つの市場(ビル、データセンター、プラント、電力グリッド)における6つの専門領域(ビル、電力、IT、マシン、プラント、電力グリッド)に向けて、
- オープンで相互運用性をもつ、エンドツーエンドのソリューションを提供するIoTプラットフォーム
となっている。
具体的には、図3、図4に示すように、第1層「コネクテッド・デバイス」、第2層「エッジコントロール」、第3層「アプリケーション・アナリティクス・サービス」の3階層で構成され、各階層で多彩なイノベーションを実現できるアーキテクチャとなっている(表2)。
図3 3層構成のEcoStruxure(エコストラクチュア)アーキテクチャ
出所 シュナイダーエレクトリック「パワーシステム事業に関する記者発表会」、2019年4月8日
図4 3層構成のEcoStruxureのアーキテクチャと各層の機能(表2参照)
LV/MV機器:LV(Low Voltage、低電圧)/MV(Medium Voltage、中電圧)機器
出所 シュナイダーエレクトリック「パワーシステム事業に関する記者発表会」、2019年4月8日
表2 提供される3つの「EcoStruxure Microgrid」ソリューション(図4参照)
LV/MV機器:LV(Low Voltage、低電圧)/MV(Medium Voltage、中電圧)機器
出所 シュナイダーエレクトリック「パワーシステム事業に関する記者発表会」、2019年4月8日
さらに、図3の下段に示すように、
①EcoStruxure Building(ビル向け)
②EcoStruxure Power(電力向け)
③EcoStruxure IT(IT向け)
④EcoStruxure Machine(マシン向け)
⑤EcoStruxure Plant(プラント向け)
⑥EcoStruxure Grid(電力グリッド向け)
など、用途向けに6つのフレームワークが用意されている。
〔2〕EcoStruxure Microgridソリューションとは
今回、日本で提供が開始される「EcoStruxure Microgrid」は、EcoStruxureのうち、前出の電力グリッド向けフレームワークである⑥EcoStruxure Grid(図3の下段赤丸部分)を利用する。
EcoStruxure Microgridは、電力の発電や消費、貯蔵、販売などを最適化し、停電時に系統から切り離された(解列された)後も、電力供給を安定化させる制御・監視ソリューションであり、前述したように、すでに世界で130件が導入され稼働している。