LO3のブロックチェーン技術と蓄電池を使ったP2P電力取引の実証
京セラでは、卒FIT電源が市場に出た際に、需要家が新しく使えるサービスを模索したP2P電力取引の検証を行っている。図2〜図4は、LO3のブロックチェーン技術を利用した実証内容である。
〔1〕余剰電力の売買の実証を検証
図2は、5つの需要家に見立てた1日の電力消費量の推移を示したものである。色分けされた折れ線グラフ(図中のP1〜P5。Pはプロシューマを表す)が、各需要家を表す。0kWhを境にして上部が需要電力(購入した電力)、下部は需要家が発電した余剰電力である。
図2 需要家ごとの売買電力量(需要電力と余剰電力)
出所 京セラ提供
下部の青い線の需要家(P1)は、LO3の仕組みを使って余剰電力をオークションにかけ、上部の複数の需要家が同様にLO3のシステムを使って入札している。ここでは、黄色の折れ線グラフの需要家(P3)が、最高値で入札している。
図3は、図2の黄色の需要家(P3)が、同じく図2の下部に示す青色の需要家(P1)の余剰電力を、LO3のシステムを介して購入した様子を、緑色の棒グラフで示している。他の黄色の棒グラフは、不足分の電力を電力会社から購入していることを示している。
図3 1対1(個人間)の電力売買と電力会社からの電力購入
出所 京セラ提供
〔2〕どのように入札と落札が行われるか
オークションの結果、どの需要家がどのくらい落札したのか、具体的な入札状況と落札量による価格変動を示しているのが図4である。
図4 入札状況と落札量による価格変動
出所 京セラ提供
まず、オークションに参加するかどうかの意思表明と購入希望価格を15分単位で示す。例えば、12:08に売り買いの意思表明と購入希望価格を示すと、12:15から12:30の15分間の電力需給の実績に基づいて、該当期間の電力をどの需要家にいくらで売るかが決定され、落札が行われる。入札は、セカンドプライスオークション方式で行われ、最高値の入札者のみ、2番目に高い入札価格で落札され、それ以外の入札者は自分で入札した価格で落札される。図4では25円/kWh(P5)が最高値であったが、2番目の価格の24円/kWh(P2)で落札されている。
積み上げの棒グラフは誰が何kWh落札したか(落札量結果)を表し、総量がオークションの出品量、つまり余剰電力となる。20.52円/kWhは、電力会社(図中の灰色の棒グラフ:GRID)の価格(実証内で固定値)を表している。
この日の平均落札価格は22.58円/kWhであった(白い折れ線グラフ)。余剰電力が大きくなると安い値段を付けた需要家にも落札され、平均価格が下がるという結果が示されている。