実証システムの内容
〔1〕防眩タイプの太陽光パネル26kWを設置
京セラ・横浜中山事業所の実証環境には、前出の写真1に示すように、樹木を植えたままの環境に太陽光パネル(多結晶型)が設置されている(樹木があると日照が減るなどの影響があるが、同社の方針として、環境重視の観点から樹木を伐採することが禁止されている)。また、近隣のマンションや住宅に配慮し、あるいは事業所周辺の道路の通行者にも考慮して、防眩(まぶしさを防いだ)タイプの太陽光パネルを使用している。
太陽光パネルは約100枚設置され、総容量は約26kWとなっている(写真2)。今回の実証では、この敷地に5軒の家庭(需要家)があると想定して(模擬して)実験が行われている。1軒当たりの太陽光パネルは、約5kW(=26kW÷5)の容量としている。
写真2 太陽光パネル(合計約26kW)と後ろに設置された蓄電池
出所 編集部撮影
写真3は、太陽光パネルの下部に設置された、各家庭用の計5台のパワーコンディショナー(PCS)「PVS-590」である。このPCSの仕様は、入力電圧範囲 DC50〜450V、定格出力5.9kW、定格出力電圧AC202V 単相2線、定格周波数50または60Hzとなっている。
写真3 太陽光パネル下部に設置された5台のパワーコンディショナー(PCS)
出所 編集部撮影
〔2〕3Gアンテナ、日射計とリチウムイオン蓄電池(12kWh×5台)
写真4は、実証に使用されている3Gアンテナ(写真左)と日射計(写真右)である。通信には、LTEよりも通信料金が安く通信機能としても十分な3G(W-CDMA)が使用され、インターネット経由でクラウドに接続する。
写真4 3Gアンテナ(左)と日射計
出所 編集部撮影
写真5は、各家庭に1台ずつ設置されたリチウムイオン蓄電池(京セラ製:型式EGS-LM1201)で、蓄電容量は各12kWh(定格出力:3kW)となっている。これは、すでに3年前からVPPパッケージとして、京セラから販売されているものである。
写真5 リチウムイオン蓄電池5台(京セラ製 型式EGS-LM1201)の全景
出所 編集部撮影
〔3〕LO3のキーデバイス「TAGe G2」
写真6は、実証で使用されている左端の非常用コンセント盤と、その右側に設置されている「計測機器収納盤+連系用分電盤」の3セットである。この計測機器収納盤内部の右側中央に設置された2台の黒い機器(写真7と写真8)が、LO3のブロックチェーン技術に対応したキーデバイスであり、ゲートウェイの役割を果たす「TAGe G2」〔第2世代のTAGe(TransActiveGrid element、トランザクティブ・グリッド・エレメント〕である。
写真6 非常用電源(左端)と「計測機器収納盤+連系用分電盤」3セットの外観
出所 編集部撮影
写真7 計測機器収納盤内部に設置された2台の黒い機器(右側中央の)がLO3のゲートウェイ「TAGe G2」(TransActiveGrid element 2nd Generation)
出所 京セラ提供
写真8 TAGe G2(写真7)の拡大写真
出所 京セラ提供
TAGe G2はユーザー側に設置されているスマートメーターと連携させて、スマートメーターからのデータをクラウド上のTransActiveGridプラットフォームに提供する。
これらは、今後、京セラ側のクラウドとデータ連携させ、蓄電池の制御を行うことも検討されている(システム連携することで、市場価格や取引結果に応じた最適な制御の可能性などを検証可能)。データ台帳管理は、京セラとLO3の両社でそれぞれ行われている。