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リチウムイオン電池の父 吉野 彰氏(旭化成)が2019年欧州発明家賞を受賞

2019/07/01
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

 欧州特許庁(The European Patent Office、以下EPO)は、2019年6月20日、旭化成株式会社の吉野 彰(よしの あきら)氏(写真)が、2019年欧州発明家賞(European Inventor Award 2019)の「非ヨーロッパ諸国部門(Non-EPO countries)」を受賞したと発表した(注)。日本からは2度目の受賞である。

 欧州特許庁(The European Patent Office、以下EPO)は、2019年6月20日、旭化成株式会社の吉野 彰(よしの あきら)氏(写真)が、2019年欧州発明家賞(European Inventor Award 2019)の「非ヨーロッパ諸国部門(Non-EPO countries)」を受賞したと発表した。日本からは2度目の受賞である。

 吉野氏は、今や世界中で使用されている約50億台ものスマートフォンをはじめ、デジタルカメラ、EVなどに電力供給するリチウムイオン電池を発明し、40年以上に渡りその技術改良を重ねてきたという功績によって、同賞が授与された。

 吉野氏の発明の起源は、1970年代初頭、旭化成工業会社(現旭化成)入社後に行った、初期の導電性ポリマーに関する研究にある。当時発見されたポリアセチレンとリチウムコバルト酸化物がもつ特性の価値を認識したことを契機に、同氏の研究は画期的な進歩を遂げた。吉野氏は、ポリアセチレン負極とコバルト酸リチウム正極を使用すれば、発明したリチウム充電池の安定性を、当時開発中の他の充電式電池よりも更に向上できることを発見した。

 最初の充電式リチウムイオン電池は1983年に製造され、同年、旭化成はリチウムイオン電池について日本で最初の特許申請を行い、商品化への道を切り拓いた。現在、吉野氏の名前は、56の日本の特許と6つの欧州の特許に発明者として記されている。

 旭化成は、リチウムイオン電池の基本特許を、ソニー株式会社を含む他メーカーにライセンス供与し、1991年にその技術を市場に導入した。

写真 受賞したリチウムイオン電池の父 吉野彰氏(動画)

写真 受賞したリチウムイオン電池の父 吉野彰氏(動画)

出所 Akira Yoshino(JP)Winner of the European Inventor Award 2019

【吉野 彰(よしの あきら)氏プロフィール】

1970年 京都大学工学部 石油化学科卒
1972年 京都大学工学研究科 修士課程修了
2005年 大阪大学大学院 工学研究科博士(工学)取得
旭化成株式会社 名誉フェロー、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター 理事長、九州大学 エネルギー基盤技術国際教育研究センター 客員教授、名城大学 大学院理工学研究科 教授


注 出所 欧州特許庁「プレスリリース」、2019年6月20日

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