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ライス大学、リチウムイオン蓄電池の3倍の電力を貯められる「リチウム金属蓄電池」を開発

2017/05/22
(月)
SmartGridニューズレター編集部

ライス大学は、同学の研究者が充放電可能な「リチウム金属蓄電池」を開発したと発表した。

アメリカ・ライス大学(Rice University)は2017年5月18日、同学の研究者が充放電可能な「リチウム金属蓄電池」を開発したと発表した。その蓄電容量は市販のリチウムイオン蓄電池のおよそ3倍にもなるという。成功の鍵は、新しい負極材料を開発したことと、その能力を引き出す正極を使用したことにあるそうだ。

リチウムイオン蓄電池では負極に炭素を使うのが普通だが、ライス大学の研究チームはグラフェンのシートに何本ものカーボンナノチューブを立てたような構造の負極を作った。炭素分子で作った3次元構造の表面積が広くなり、炭素材料を使った負極よりも多量のリチウムを吸蔵できると狙って作った構造だ。

図 ライス大学の研究チームが作った負極表面の模式図

図 ライス大学の研究チームが作った負極表面の模式図

出所 Rice University

開発した負極で試験してみたところ、リチウム金属電池の理論限界に近い量の電力を貯められることが分かった。さらに、リチウムイオン蓄電池を劣化させる「デンドライト」や苔のような物質がまったく発生しないことも分かった。デンドライトはリチウムが堆積したもので、蓄電池の電解質の中で突起を作るように成長する。デンドライトが成長して、正極と負極の間を隔てているセパレーターを突き破ると、正極と負極をショートさせてしまい、蓄電池が発火し、最悪の場合は爆発する。

ライス大学の研究チームによると、リチウムイオン蓄電池の性能をはるかに超えるリチウム金属蓄電池を開発しようとすると、必ずデンドライトが発生して、研究者を悩ませていたという。

その後の調査で、充電するとリチウムが新開発の負極を均等に覆うように堆積し、デンドライトを発生させる様子がなかったということが分かった。グラフェンの上に樹を植えるように、しかも低い密度でカーボンナノチューブを立てたことが功を奏したのではないかと研究チームは考えている。表面積が広くなり、充放電時にリチウムが動き回る空間ができ、低密度でカーボンナノチューブが立っているグラフェンをフル活用するために、リチウムが全体を薄く覆うようになったのではないかということだ。新開発の負極は1g当たり3351mAhの電力を貯められるという。これは、リチウムイオン電池の理論的な限界の10倍に近い値だという。

図 新開発の負極に充電し、そのカーボンナノチューブ部を電子顕微鏡で捉えたところ。表面を均等にリチウムが覆っている

図 新開発の負極に充電し、そのカーボンナノチューブ部を電子顕微鏡で捉えたところ。表面を均等にリチウムが覆っている

出所 Rice University

新開発の負極のために研究チームが用意した正極は硫黄とカーボンを組み合せたものだ。次世代の蓄電池の正極材料としてさまざまな研究者が有望と見ているものだ。その結果、1kg当たりの蓄電容量が752Whを記録し、500回の充放電を繰り返しても80%の蓄電容量を保ったとしている。そして実験後に調べたところ、デンドライトや苔などは見つからなかったという。

研究チームは「多くの研究者は負極だけを研究しようとする。蓄電池全体について研究しようとすると、研究対象が広がってしまい、研究が進まないからだ。一方私たちは、蓄電容量が非常に高い負極ができたので、その実力を引き出すのにふさわしい正極を開発しなければならなかった。結果として蓄電池全体を開発し、テストすることになった」と、成功の要因について語った。


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Rice University

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