2020年に向けた大きなビジネス市場創出への期待

― 消費電力予測精度94%、夏季ピークカット率14%を実現 ―

2020年に向けた大きなビジネス市場創出への期待

 今後、夏季ピークカット実証で明らかになったいくつかの課題に対応した、より高度なクラウド機能を開発したうえで、冬季のピークカット実証を実施する。

 冬季ピークカットの実証試験に向けた開発・検討項目は次の通りである。

  1. 放電スケジューリングの自動化、ピークカットに活用するEV台数の最適化、消費電力予測の精度向上などのクラウド機能の高度化
  2. 定置型蓄電池からの放電による、更なるピークカットおよびEVの本格的普及や充電器の高速化などを見据え、EVが集中的に充電を開始した際の新たなピーク回避の有効性の確認
  3. エネルギーコストやCO2削減に関して、EVならではの見える化の検討
  4. 今後、需給調整市場(ΔkW価値)や卸電力市場(kWh価値)などに、VPPなどのエネルギーリソースを提供するため、モビリティデータなどを活用し、EVのSOC(蓄電池の残量)を予測する技術の検討

 図5に、EV(V2B)を活用した今回のトライアルのスケジュールを示す。

図5 EV(V2B)を活用した実証試験のスケジュール

図5 EV(V2B)を活用した実証試験のスケジュール

出所 日産自動車/NTTスマイルエナジー/NTT西日本、「EV(V2B)を活用したオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルの夏季実証結果について」、2019年9月26日

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 日本では、2019年11月から卒FIT電源の市場が登場する。これは、日本の再エネの主力電源化へのトリガーとなり、

  1. 太陽光や風力発電による再エネの発電と、
  2. その電気を蓄積する定置型蓄電池やEVに搭載された移動型蓄電池を、
  3. IoTやクラウドを使用して制御することによって、

再エネの主力電源化が強力に推進される。

 これらによって、地産地消型エネルギー社会の実現が促進されることになるが、その際に、新しいビジネスモデルをどう構築するかが重要だ。2020年に向けて、新しいビジネス市場が拓かれようとしている。

 なお、本記事で登場した主な用語(キーワード)について表2に整理しているので、参考にしていただきたい。

表2 本記事で登場する主な用語(キーワード)解説

表2 本記事で登場する主な用語(キーワード)解説

出所 各種資料をもとに編集部作成

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