[SDGsをバックアップする技術イノベーション]

第2回 5GやIoT、AIは、SDGsの目標達成に必要な技術

2020/01/06
(月)
新井 宏征 インプレスSmartGrid ニューズレター コントリビューティングエディター

グローバルなICT企業によって設立された団体GeSI

 ICTが環境配慮に関する取り組み、ひいてはSDGsの達成に貢献する可能性があることは、テレフォニカに限らず、さまざまな企業や団体が主張している。その中でも、世界中の主要なICT企業と団体が協力して立ち上げたGeSI注11は、SDGsの達成に寄与するICTの活用方法についての調査や情報発信などを積極的に行っている。

 GeSIの参加企業一覧注12を見ると、58の企業や団体が名を連ねている。具体的には、AT&TやDeutsche Telekom(ドイツテレコム)、T-Mobile、Verizonなどの通信事業者の他、ARMやDell、Huawei、ZTEなどのICT関連メーカー、ETSI(European Telecommunications Standards Institute、欧州電気通信標準化機構)やIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子学会)、ITU(International Telecommunication Union、国際電気通信連合)などの団体も参加している。日本企業としては富士通が参加している。

GeSIの最新レポートで特定された7つの技術

 ICTの活用がSDGsの達成にどのように寄与するのかについて、GeSIは2019年9月に“Digital with Purpose: Delivering a SMARTer 2030”注13というレポートを発表して紹介している。

 同レポートでは、SDGsの達成に影響を与える技術を、表2のように7つに分類しているが、これらの技術を単独で使うのではなく、個々の技術を組み合わせることで、SDGsのさまざまなゴール(目標)に貢献することができるとしている。

表2 SDGsの達成に活用できる7つの技術

表2 SDGsの達成に活用できる7つの技術

出所 ”Digital with Purpose: Delivering a SMARTer2030”をもとに筆者作成

ドイツテレコムによるPark and Joyによる取り組み

 例えば、GeSIのメンバーであるドイツテレコムは、Park and Joy注14と呼ばれるサービスを活用して、SDGsの達成に貢献している。

 同社が「スマートパーキング」と呼ぶこのサービスは、都心において駐車場を探すことに伴う課題を解決するために提供されている。ドイツテレコムによると、都心における渋滞の約30%が駐車場を探す車によって引き起こされており、それぞれの車が最終的に駐車場を見つけるまでに20分の時間がかかっているとしている。

 Park and Joyでは、モバイルデータと道路側に埋め込まれたセンサー情報を活用し、ドライバーにリアルタイムで正確な駐車場の空き情報を提供し、さらに駐車場に至るまでの適切なルートを示すサービスを提供している。

 GeSIのレポートによると、これらのサービスはSDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」とゴール13「気候変動に長期的な対策を」の達成に貢献するとしている。特にゴール11に関しては、より具体的なターゲットとして、ターゲット11.2注15やターゲット11.6注16に貢献するものだとしている。

 実際に、ドイツのハンブルグにおける1年におよぶ実証実験では、アプリを使うことで駐車場を探すための移動距離が平均で875m削減できたと報告している。

 このアプリの運用に利用している、サーバやセンサーなどで消費される電力に由来するCO2を考慮しても、同アプリを利用することでCO2を63%削減できたことも報告している。

SDGsの目標達成に貢献するICT

 SDGsの目標を達成するためには、冒頭で見たCOP25のように、国際的な足並みをそろえて取り組んでいくことは、非常に重要である。

 そのため、2020年に開催されるCOP26での市場メカニズムなどの議論の進展が注目されている。しかし、SDGsの目標を達成するために1年もの時間を無為に過ごすことはできない。

 SDGsの目標達成の取り組みを加速させるためにも、国連などが主導する国際的な枠組みに加え、今回紹介したようなICTを活用した技術的、ビジネス的な取り組みもあわせて行っていくことが重要である。

(第3回につづく)

Profile

新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイディア 代表取締役社長

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、現在はシナリオプランニングの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。東京外国語大学大学院修了、Said Business School Oxford Scenarios Programme修了。主な著書に『米国のスマートグリッド新標準:EnergyIoT/OpenFMB報告書』『スマートハウス/コネクテッドホームビジネスの最新動向2015』(以上インプレス)、訳書に『成功するイノベーションは何が違うのか?』『プロダクトマネジャーの教科書』『90日変革モデル』(以上翔泳社)などがある。


▼ 注11
GeSI:Global Enabling Sustainability Initiative、サステナブル実現のためのグローバルイニシアティブ。2001年設立。

▼ 注12
https://gesi.org/members 参照。

▼ 注13
https://gesi.org/research/gesi-digital-with-purpose-summary 参照。

▼ 注14
Park and Joy 参照。

▼ 注15
2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者および高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

▼ 注16
2030年までに、大気の質および一般ならびにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の1人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

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