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— SDGsやRE100/EP100/EV100など多数のイニシアティブと連携 —
2020/02/06
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

日本が「気候変動Aリスト」数で、世界第1位へ

図3 RE100 年次報告書(2019年12月、左)とCDP気候変動レポート2019 日本語版(2020年1月、右)

図3 RE100 年次報告書(2019年12月、左)とCDP気候変動レポート2019 日本語版(2020年1月、右)

出所 RE100 年次報告書
CDP気候レポート2019(日本語版)

 次に、新しいトピックを紹介しよう。

〔1〕CDPを通じた重要な情報開示

 RE100を運営するCDP(表2参照)は、企業に気候変動対策に関する情報開示を促すイニシアチブである。このCDPは、2000年に英国に設立された企業の温室効果ガス(CO2)の排出量と気候変動戦略に関するESG注3評価機関でもある。企業が温室効果ガスの削減目標をどのように策定し、企業戦略として実践するか、という情報開示を促進することは、削減目標を確実に実践するうえで極めて重要である。

 CDPは、各企業に行った気候変動などに関する質問状に対する回答をもとに、2020年1月、「CDP気候変動レポート2019:日本版〜運用資産総額96兆米ドルに達する525の機関投資家を代表して〜」を発表した(図3右側注4)。

 2019年は、過去最大の約8,400社(世界の時価総額50%強)もの企業から、CDPを通じて情報開示が行われた。

〔2〕日本はCDP評価で世界第1位へ

 CDPでは、各企業の気候変動への取り組みや戦略などの実績を、「A、A−、B、B−、C、C−、D、D−」の8段階で評価した。特に優れた企業には最高評価のAリストが設定される。

 CDPは、日本企業からは500社を選定し、それを中心に質問書を送付し、316社(回答率:63%)から回答を得ている。2019年版のAリストに選出された日本企業は38社(表3)となり、2018年の20社より18社も多く、約2倍の増加となった。

 図4に示すように、この日本のAリスト企業数38社は世界第1位となり、次いで第2位が米国(35社)、第3位がフランス(22社)、第4位が英国(10社)、第5位がドイツ・韓国(各9社)となった。また、Aリスト地域別企業数では、第1位が欧州、第2位がアジア、第3位が北米であった。

図4 CDPが発表したAリスト国別企業数(上位10カ国)とAリスト地域別企業数

図4 CDPが発表したAリスト国別企業数(上位10カ国)とAリスト地域別企業数

出所 CDP気候変動レポート2019:日本版、2020年1月

 表3に示した、日本のAリスト企業数38社の内訳を見ると、製造セクター(製造部門)がトップであり、ものづくり日本が、気候変動対策でも大きく健闘していることが見て取れる。

 なお、第2位となった米国は、アップル、フォードモーター、ヒューレット・パッカード、ウォルマート、アドビ システムズ、アメリカン・エキスプレス、シスコシステムズ、マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムなど35社が名を連ねている(詳細は同レポート参照)。

〔3〕2020年1月はパリ協定実行のスタート年

 現在、地球の温暖化の進展は予想以上のテンポで進んでいる。2020年1月からパリ協定は実行段階に入り、歴史的なスタートの年を迎えている。不十分ではあったもののCOP25で合意を見た、2050年にゼロエミッションを目指す世界の潮流を発展させ、排出量削減の見直しによって、排出削減量を引き上げる機運を高め、温暖化を1.5℃以内に抑えて地球の気候危機を回避できるよう期待したい。


▼ 注3
ESG:Environment(環境)、Social(社会問題)、Governance(ガバナンス:企業統治)の略。企業が持続可能な事業活動を展開するうえで考慮すべき3つの視点。ESG投資とは、企業活動において環境(E)、社会問題(S)、企業統治(G)を重視する投資手法。

▼ 注4
CDP気候変動レポート2019:日本版

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